3月の釣り Ver.1



 ■ バンガロー泊で氷上へ

3月20日 随分前から計画していた、バンガローに泊まって氷上釣りを楽しもう!その日がやってきた。
しかし何たることか・・・大型の低気圧の通過による「大荒れ」が春分の日を襲ったのである。
幸い、イノケンさんが我が家に着いた昼頃は穏やかな空で、途中にあるドライブインで昼食を済ませての出発となっ
た。
高速道路を下りて買出しをすべくショッピングセンターに到着した頃、メガオさんから「このショッピングセンターを出発し
たところだが、あんたらはどこらへん?」とのメールが届いていることに気付いて電話する。
ショッピングセンターから10分ほど離れた道を走っているとのことで、退屈なので私たちに合流すると言い残して電話が
切れた。
買物が済み、レジに向かったところでメガオさんが現れ、ここからは全員揃っての行動となった。
ここ最近の暖かさや雨のせいで豪雪地帯も少しは積雪が減っているのかと思ったが、相変わらず平屋なら簡単に埋もれてしまうほどの積雪だった。
そして、この日の氷上釣りが終了真近の15時過ぎに管理棟に到着。
ここからバンガローまではスノーモービルで送ってくれるので、スノーモービルに繋がれたソリに荷物を積み込み、私とイノケンさんが先発。
バンガローはキャンプ場の林の中にあるので、右に左に曲がりながら300mほど走ると意外に立派な3棟の建物が見
えてきた。
キャビンの名は「イトウ」、正しく今回の釣りにふさわしい名前がついている。
ピストン輸送でメガオさんとKさんが到着し、FFストーブで暖められていた室内を探索する。

          

玄関から右に水洗トイレ、そしてリビング&ダイニング8畳ほどがあり、お湯は出ないが安全な電磁調理器と中鍋、まな
板と切れない包丁がある。
他にも換気扇や食器洗い洗剤とスポンジ、流し台の横には冷蔵庫まであった。
一番奥には四畳半ほどの部屋に丸いちゃぶ台、スポンジマットは5組あるので持ち込んだ寝袋にマットは持参する必
要はないし、これが座布団代わりになる。
上に目をやると、ロフトスペースに垂直と言ってもいいほど急な梯子を使って上ることができる。
内装も新しく清潔で、バンガローの利用者は駐車料金が無料、駐車場往復の送迎もサービスである。
6畳ほどあるので4人は楽に寝られる広さで、このロフトスペースがバンガローの開放感を生みだしている。
夕食までのひと時を賑やかに過ごしていると、他のキャビンの宿泊者が2度前を通過し、この日は3棟全てに宿泊者があるようだった。
窓からの風景に青みが濃くなってきた頃、私たちは夕食の準備にとりかかる。
メガオさんのリクエストで今夜はカレーだ。

        

野菜を投入すると鍋が一杯になってしまったので、持参した鍋と電磁
調理器用の備付の鍋に分割して、4人で鍋二つ分のカレーが完成する。
子供の頃の炊事遠足気分でカレーライスをお腹一杯食べて酒を飲み、トランプやゲームなどで盛り上がる。
ご飯は夕食後にもう一度炊飯しKさんがおにぎりをつくると、イノケンさんが心を込めて板海苔を巻きラッピングをして、翌日の主食の用意も万全だ。
何時頃まで起きていたのか記憶にはないが、外は雨が降っていてプラス気温だった。


3月21日 目覚めたのは4時過ぎだったのでまだ暗く、階下からの声が聞こえるので起きることにする。
少々飲みすぎたせいか調子は好くないが、鮭鱒にかける期待感からだろうか興奮していた。
5時過ぎには少しだけ明るくなり始めたので、チェックアウト係になってもらったKさんを残し3人で出発。
スノーモービルのつくった跡は暖気のせいかややぬかるんで歩きにくい。
道路への出口に近づくと早くも受
付に並ぶ車列があり、私たちも駐車場の車から荷物を用意した。
5時半、雨が降り始めたが気温はプラスだろう、暖かくほぼ明るくなった湖面を目的の釣り場まで歩いて移動。
はじめのうちは張り切って先頭を行く私だったが、程なくしてメガオさんに交代、最後はフラフラになってなんとか目的
地に到着。
降り続く雨が恨めしい空だが風は吹いていなかったのでテント設営は楽で、雨をしのげることの快適さに感激する。
テントの設営から穴あけ、全てを二人にまかせっきりで私は休んでいるばかりで何もできずにいたが、外で鮭鱒の準備を進めているイノケンさんに申し訳ないとワカサギの準備を始めた。
前回よりもやや沖目だったこの日のポイントは8mほどの深さがあり、最初の投入から表層で反応があった。
すぐにこの湖らしいやや小型の黒っぽいワカサギが釣れると、その後も反応は好く続いたメガオさんも次々に釣っていた。
そしてイノケンさんが私の分まで穴の準備をしてくれて、さすがの彼もヘトヘトになってテントに戻ってきた。
その頃Kさんは、キャビンのチェックアウトを済ませてから私たちの釣り場へ向かうのだが、チェックアウトの受付とスノーモービルの送迎受付とは違う人がしているので、この釣り場でも一番遠い場所への送迎にたった一人で行きたいと言う女性に不信感を持つことは当然のことだった。
それでも無事に、8時頃には私たちに合流する。
イノケンさんの努力に応えるべく竿の準備をして、全ての仕掛けの投入が済んだ頃には雨は止みかけていたが風が強くなり始めていた。
ペグ打ちのできない雪上なので湿った重い雪をスカートに載せて、スコップやドリルを利用して風向きに合わせて数箇所のロープを張っ
た。
前日に天気予報で確認した南風予報は的中し、この場所は風下になるのでテントが変形するような強風を受けることはなかった。
メガオさんは9時半には軽く150匹ほど釣り上げ片付けをはじめ、10時にやってきたスノーモービルで帰っていった。
たった3人で他には誰もいない離れた場所ではあったが、ワカサギのアタリは適度に休みなく続いた。
私がテントを離れ、少し遠い場所にいた11時だった。
「ピピピピピー!」アタリセンサーの音が聞こえて、イノケンさんとKさんが竿に向かって走る姿が遠くに見えた。
スノーモービルの跡を歩いても膝ほどに埋まる1歩づつしか歩けない道だったので、歩きながらズームして二人の様子を撮影する。
ようやく歩きやすい道に出たときはすでに魚は釣り上げられていたようで、サクラマスを釣って満足したKさんが私とすれ違いにテントに引き返していった。
35cm以上はあるだろう美しいサクラマスが雪上に横たわり、私は寂しく写真を撮ってからイノケンさんにお願いして、動画撮影をしていただきながらのリリースで釣った気分になる。
この日は風のせいで何度も誤報があり、その音に反応して駆けつけ
何度となくガッカリしていたが、正午過ぎにもアラームが鳴った。
竿先に強い反応がなかったのでラインを手繰りながら確かめていたところ、サクラマスらしき反応が伝わってきた。 
ここで竿を持って釣り上げたなら心地好い引きを楽しめたのだろうが、何も考えずに手繰っているうちにサクラマスが見えてしまい引き上げる・・・。
一匹目と同じくらいのサクラマスで、竿を使えばという
後悔よりも釣り上げた喜びのほうが勝っていて、数週間ぶりの美しい魚体に見入ってしまった。
再びイノケンさんにお願いして動画撮影をしたが、雨による湿気のせいかカメラの動作が不安定になっていた。
カメラは、その後乾燥させると正常に戻った。
午後の部は雪が降り始め風も強くなり、13時頃には漁協スタッフが2台のスノーモービルでやってきたが、私たちのポイントだけは風が弱かったのである。
他のほとんどのポイントではテントが飛ばされるなど釣りにならず、この時間でも釣りをしていたのは私たちだけらしい。
スタッフが感心するほど無風だったので、15時に迎えに来ますと去っていった。
外は大陸からの黄砂によってまだら模様になっていて、降雪量が多くなるとそれはすっかり覆い隠された。
それでもワカサギのアタリは好調で、時間ギリギリまで楽しもうとほとんど無言になって釣り続けていたところ、イノケン
さんは寝ていたらしく、静かだったのはそのせいである。
14時過ぎには仕掛けが絡み、ちょうどよいタイミングと納竿。
のんびり少しづつ片付けをしながら広いテント内で快適な時間を過ごし、若干の期待を胸に鮭鱒の仕掛を片付けに向かうがワカサギはそのままだった。
ソリもテント内に入れてテント以外の全てを整理して、最後に風が吹かないことを祈ってテントの撤収をした。
15時3分前には2台のスノーモービルが迎えに来てくれたが雪は視界数十m程度に落ちていて、近くの山も見えないほどだった。
2台に分乗して走りはじめると時々横殴りの風に雪が顔に当たるが、スタッフは時々スピードを上げて普段と変わらない時間で管理棟下に到着した。
スノーモービル代金を支払い
、強風の中での荷物の積み込みを済ませ、出発したが視界が極端に悪い・・・。
しばらくは降りしきる雪に翻弄され、正面衝突事故の目撃にビビリながらの運転だったが、やがて道はアスファルトが
現れ降雪量は少なくなり、思ったよりも随分早く自宅に到着することができた。


ワカサギは楽しめたが、今期はイトウを釣ることは叶わず、そんなに甘い釣りではないことを痛感した。
しかし、バンガローで過ごした一夜は今後のチームの戦略上、実に有意義な経験だった。


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