2月の釣り Ver.2



 ■ 再び道北に鮭鱒を求めて

2月21日 不安定な土曜日の天気を避けて日曜日に決めたのが木曜日のことだったが、低気圧の影響は日曜にまで
及びそうな予感に不安は募る。
当日は雪がちらほらと舞う程度の朝で、気温はマイナス10℃という中途半端ではあったがこれくらいが丁度好い。
日曜日のせいだろう、交通量は先週の土曜日に比べると格段に少なく、バンクーバーオリンピックのラージヒルジャン
プ個人戦をラジオで聴きながら走る。
高速道路を下りた後は先週とは違ったコンビニで買い物をして、朝食を食べながら湖が近づく前にはジャンプの勝敗が
決し、先日特集番組で観たスイスのアマンが予想通りの金メダルだったことを確認しつつ、日本選手の入賞に安堵す
る。
この頃には右後方から朝日が昇っていて、ライトが必要ないくらいに明るくなっていた。

           

先週よりは早く到着したが、途中で追いついた前を走る車が実に危なっかしい運転で、大丈夫かなあと思っていた矢
先の前浜に通じる直線の坂道で・・・左壁に激突!
車間距離をとっていたので追突することは避けられたが、幸い雪の壁だったので大事には至らなかったようだった。
スノーモービルの出発10分前ではあったがすでに15人ほどが待機していて、スノーモービルは4台並んでいるもののスタッフはいなかった。
管理棟で用を済ませて受付で送迎切符を購入するときに、あの杉坂氏のフライリールがセットされた9千円のワカサギ竿を探すも見当たらなかった。
私たちの順番は意外に早くやってきて、7時16分には出発!
前浜から湖全体を見渡せる場所では中央の大きな島付近から漂う靄が幻想的で、この日の気温はマイナス10℃程度
と暖かく感じられるほど。
        

すでに陽が昇り青空も広がっているが、目的の先週と同じ道にはスノーモービルの跡がなく、パウダースノーが舞い上
がり巻き込まれてくるので顔が冷たい。
もちろん先行者の足跡もないので好きな場所に入釣できる期待が膨らみ、あれこれ考えているうちに到着となった。
ワカサギのよく釣れるポイントを教えていただいたが、鮭鱒のポイントからは20m以上離れているので、大物ポイント優先で場所はすぐに決まった。
先週私たちの対岸で釣っていたグループが残した穴を利用してKさんがワカサギの試し釣りをはじめた頃、私は僅か一週間で消えた道を踏み固めながら既存の穴を探す。
道は消えても穴の位置は、こんもりと突き出ているところを探せばすぐにみつかった。
3箇所の穴と道を確保したところで戻ると、Kさんのバケツの中には
早くも二桁のワカサギが泳いでいたので、この場所でテントを張ることに決める。
テントを開き、私の分の穴をあける位置決めをしてテントをずらし、穴あけをする。
ドリルの最上部は2m以上あるのでドリルの中央部分を支点に回し、3回ほど中のシャーベット層を取り除くと最後の氷
の層に達する。
氷の層は数回回転させるだけで簡単に貫通し、深さは軽く1.5m以上はあることが推測できる。
ここで遠くからスノーモービルのエンジン音が聞こえてきて、それは私たちのところにやってきた。
たった二人で寂しくもあったので願ってもない釣り人は二人で、私たちのすぐ横に釣り座を構える様子。
この人たちは、反射式の石油ストーブを背中にした野天釣りだった。
確かに、晴天の陽射しが暖かかったので野天でも辛くはなさそうだった。
テント内の準備を済ませてからKさんの釣ったワカサギをエサに仕掛をセットして、道をつけて穴を探し全ての準備を終
えたのが9時半だったので、先週よりは1時間も早かった。
一段落したところで隣人に目をやると、私の左右に仕掛をセットしているので包囲されたような格好になっている。
左の釣り人は、かつてここで日に15本のサクラマスを釣り上げたという自信のあるポイント選びで、場所選びと仕掛け
のセットに時間をかけていた。
遥か遠くから時々微かに聞こえてくる管理棟からのスピーカーの音とガソリンストーブの音、他には何も聞こえないほど静かだった。
ジャスト10時、静寂を破るアタリセンサーからの「ピピッピピッーー!」が聞こえてきた。
ともに飛び出しアラームの鳴る竿に駆けつけると竿先が揺れていたので、カメラをKさんに手渡しアラームを外して合わせを入れる・・・グンとくる手ごたえにヒットを確信。
重い!しかしその重さからはかかった魚がサクラマスと判断でき、数秒後には光る魚体が見えたのでラインを持って一気に引き抜いた。
このサクラマスはこれまででは一番大きくて腹が太く、計測してみると36cmだった。
ただ残念なことに、カメラの設定のミスによって満足のいく写真が残せなかった・・・。
一本釣って安心したところでワカサギ釣りに集中すると、約4mの底にワカサギが群れているのか小気味好い反応とともに釣れる。
しかし多くても一度に2匹が最高で、釣り続けているKさんとの差はひらくばかりである。
ガソリンストーブを点けていると暑いくらいの陽射しと氷点下一桁の気温だったのでメッシュの小窓を開けていたが、僅かに吹く風向きが悪かったのでアタリセンサーの音は聞き取り難かった。
10時45分、センサーの音が聞こえたような気がしたので仕掛けのチェックに行くと、奥から2番目のセンサーが外れていたのである。
しかし竿先に動きはなく、巻いてみると糸ふけしている・・・・・突然に重さが伝わったので合わせを入れてみてヒット!
ゆっくりと巻いていたが糸には4ミリくらいの太さに凍った氷が連なり、もう少しというところで巻けなくなってしまった・・・。
抵抗をみせる魚はギリギリとドラグを鳴らしているのでバレてしまうのではと途方にくれていたところ、オモリが見えたので一気に抜き上げようと竿を高く上げると、これまでにない大きさのサクラマスの頭が見えて少しギョッとしてしまった。
重さを確かめながら引き上げたサクラマスは雪の上に静かに横たわり、銀色に光る魚体は美しかった。
大きさは39cmと、僅かに40cmには届かなかったが、またまた記録更新となる幸運に感謝する。
その10分後、外でお隣さんと話しこんでいたところに、テント内から私を呼ぶ声がする。
駆けつけた時には竿が根元から曲がっていて大きな魚が掛かっていることがわかったが、直後に糸が切れてしまっ
た・・・。
Kさんによると、ワカサギが釣れたので巻き上げていたところ急に強い引きがあり、それでもなんとか巻き上げてきたが、サクラマスの魚体が見えた直後に切られてしまったそうである。
30cm程度のサクラマスであればワカサギの仕掛でも釣り上げられるが、それ以上になるとなかなか困難だろう。
その後、「釣番長」のビブをつけた係員が巡回に来たので釣果報告をするが、この場所で3桁釣っているのは珍しいと言い、最後に一酸化炭素中毒に注意してくださいと笑顔を見せて去っていった。
11時を過ぎるとワカサギの反応は鈍くなってきたので早めの昼食を楽しみ、ポツポツ程度に釣れるワカサギ釣りを楽しむが、外のサクラマスからは何の反応もない。
午後はワカサギからのアタリも途絶えたので、持参したアルミマットを敷いて昼寝の時間となる。
その後、最後のエサチェックと外に出るもワカサギは元気に上がってきて、結局交換したのは一匹だけだった。
隣のベテランさんは5匹釣る予定だったが、これはもしかするとボウズかもしれんなと、厳しいなかでの私の幸運を裏付ける一言もあった。
残り1時間となった14時頃にワカサギの反応が良くなるが、14時15分にはワカサギの竿は片付けて大物竿の撤収に入る。
結局、何の変化もなく全ての竿の片づけを終え、テントをソリに積み込みゴムバンドをかけようとしたときにスノーモービルのエンジン音
が聞こえてきたのが14時52分だった。
14時55分には完全に出発の準備が整っている私たちが先に行くことになり、座ったところでもう一台のスノーモービル
が見えて、間もなくスノーモービルは動き出した。
          

先週よりも天気が好かったのでまだ高い位置にある太陽が前浜の釣り場を明るく照らしていて、釣り人の姿が生き生
きとみえる。
15時過ぎには管理棟下に到着し、5分ほどのスノーモービルの程好い乗り心地の爽快感と若干の寒さから開放され
る。
駐車場を出発して少し走るとアスファルトは完全に見えていて走りやすく、出発時にバックミラーに見えていた後続車は
いつまでも私の後方に続いて追い越す様子はない。
帰りの高速道路を走っているときに赤くなり始めた夕景が美しく、春の到来さえ感じるような一日の好天が「また来週も
来よう!」と思わせてくれた。





 ■ 2月最後の氷上はワカサギも好調!

2月27日 スノーモービルの送迎は楽だが、ワカサギも鮭鱒も一番期待できる朝マズメが終わる頃からのスタートとな
る。
この時期の受付は5時半に変更され30分早くなっているので、ポイントまで歩けば朝マズメの釣りができると考え、今回は早起きしての出発となった。
連日の雨で高速道路ばかりでなく、国道や道道もすっかり雪が消えてしまっていた。
この日の気温はマイナス一桁に、天気予報では曇のち晴となっていたが、湖に近づくにつれて雪が降り始め、その雪は圧雪路面になってしまうほど大降りとなってきた。
現地に着いて時計を見ると5時20分だったにもかかわらず、受付には15台ほどの順番待ちの列ができていた。

前浜に続く直線
受付を済ませてから管理棟に寄り用を済ませて、ソリに荷物を積み込むとすぐに出発となる。  

ようやく明るくなりはじめる
生憎の雪のせいかまだ薄暗く、ライトは持ってきていなかったがなんとか足元は見える程度のスノーモービルの道を進む。
他の釣り人もそれぞれ目的のポイントを目指しているのだろう、前浜から枝分かれするように散っていく。
幸い私たちが目指すポイントへの道は人の足跡がなく、雨で固まった歩きやすい雪面とソリが随分軽く感じるほどの平坦な道は楽だった。
しばらく歩き進んで後方を振り返ると3人の人影がこちらに向かって歩いてくるのが見えたが、その距離は最後まで縮まらなかった。
20分弱で先週と同じポイントに到着すると、私たちが入釣していた場所がそのままに残されていて、迷うことなく釣り座が決まった。
ただし、Kさんの使っていた穴は底に流木があったので、新たに穴を
ひとつだけあけることにした。
鮭鱒の穴も道はほとんど雪に埋もれることなく残っていたが、穴は完全に埋まっていたので若干手間取ってしまう。
テントを開き荷物を運び入れ、さっそくKさんがワカサギの仕掛を落とすと・・・反応がない。
時間は6時半を過ぎているので明るくなっているが、竿先はピクリともしなかったのである。
その頃私は鮭鱒の竿とリール、それに仕掛をセットして着々と8時までには釣り上げようとテント内で準備を進めてい
た。
             
              奥には3人                               最初の獲物
そしてKさんの竿に反応が・・・・・大物の手ごたえだと言い、竿先は根元から曲がっている。
ビデオ撮影をしながらタモ代わりに氷すくいを用意したところで現れた魚は、なんとウグイだった・・・。
この後、僅かの時間のうちに3匹もウグイを釣っていたKさんだった。
そして私は、こんな時のためにと持参した先週のワカサギをとりあえず3本の仕掛けにセットして、一旦テントに戻った。
すると、いつの間に釣ったのかKさんのバケツにはワカサギが泳いでいて、ようやくワカサギの反応が出始めたようだった。
ようやく釣れた生きたワカサギだったのでエサに使うからと持ち出すには忍びなく、残りの
仕掛にも冷凍ワカサギを使うことにする。
陽は射していなかったが青空も見えていて、気温が高かったのでストーブに火を入れるとすぐに暖かくなり、動き回っていたので上着は脱いでいたほどだった。
ようやく私もワカサギの準備をして釣り始めたところ、ワカサギが調子好く釣れ始め、仕掛をおろすとすぐに反応があった。
二人とも軽快に釣っていた7時半過ぎだ
った。Kさんがアタリセンサーの「ピピッ!ピピッ!」という微かな音を聞き逃さなかった。
一斉に飛び出し、竿先を見るとグイグイと曲げられていたのである。
合わせを入れると、心地好いほどの重さが腕全体に響きヒットを確認。
巻き始めはさほどでもなかったが、次第に重くなってきてドラグがキリキリと出ていることを感じると慎重に引き上げねばと我に返る。
そして穴から見えたサクラマスの頭の大きさに驚く・・・先週に続いての驚きだが、穴の大きさが決まっているので魚の大きさは感覚的に判断できるようだ。
ゆっくりと穴から抜き上げて引きずるように安全な場所まで移動させると、Kさんが「ウワッ!今までにない(大きさ)・・・・・」言葉が詰まってしまうほどだった。
先週はラインを持って記念写真を撮ったが、さすがに今回は無理なので下あごを持ったほどである。
大きさは43cmと、念願の40センチ超えを達成し、じっくりとその魚体の美しさと大きさに見入ってしまった。
8時頃には部分的に陽が射しはじめ雪が止み、青空が所々に見えてきた。
ワカサギはというと、今回は型が好くて複数匹釣れる回数が多くなっていた。
しかし、天気はめまぐるしい変わりかたで時々風も吹いていたので数箇所のペグ打ちをして、スコップを立ててロープを張った。
周りを見渡すと、私たちの奥に一張りのテントに三人、対岸にテントが一張りに一人だけだったが、それでもなんと

安定しない空模様
なく賑わっている気がする。
ジャスト9時、風に紛れて聞き取りにくかったが「ピピピピーーー!」とアタリセンサーの音が聞こえてきた。
テントから飛び出して駆けつけると、竿先に反応は見えなかったが糸ふけしていることで魚がエサのワカサギを銜えていることを確信。
今度は私とKさんが竿を持って糸ふけを巻き取ってから合わせを入れる・・・軽く曲がった程度だがヒットしたことは見ていてもわかった。
数回ドラグを鳴らし、意外に抵抗をみせたところで穴の出口にサクラマスがクネクネと見えて、ここで一気に引き上げゲットとなった。
一本目が大きかっただけに小さいと思っていたが計測すると34cmもあり、口から半分出ているワカサギが生々しい。
頭から穴に入れてリリースしたもののなかなか動き出さず心配したが、尾びれを押し込むと一瞬にしてその姿を湖の中に消した。
その後、先週お隣さんとなった方が一人でスノーモービルでやってきて、同じ場所に同じように時間をかけて鮭鱒の仕
掛をセットしていたが、先週同行していた仲間には内緒でやってきたと話していた。
釣りがしたくてうずうずしてどうにも堪らず来てしまったと言うから面白い。まあ、人のことは言えないが・・・。
この方は相変わらず野天釣りで、幸いこの日は先週よりも暖かかったのでよかったなあと私は勝手に思っていたのだ
が、実はそうではなかったことを後から知ることになる。
10時20分、最後にテントの一番近い場所に仕掛けた竿は鈴をセットしていたのだが、この鈴が鳴っていることに気付いた。
鈴を外して1.6mの少々長い竿を慎重に持って合わせを入れた・・・グッとくる重さに乗ったことを確信して巻き上げると、その重さからイトウではないことがわかったので「サクラだ!」と、私は言う。
更に巻いていると思ったよりも抵抗して、ドラグが鳴りラインが引き出された。
それでも竿が長いので、やりにくさはあったが魚は扱いやすかった。
穴から魚の顔が出てきたところで一気に引き上げるとKさんが「あっ!アメじゃん」と言い、私も「アメマスかい・・なあんだ」と若干トーンダウン。



サクラマスに比べると細長いので大きくは感じなかったが、大きさは40cmほどで、元気に湖に泳いで帰っていった。
テントに戻った私の竿には針数分5本に近い4匹のワカサギが付いていて、この時間になってから再びワカサギが釣れだしてくる。
先週はこの時間から釣果が落ち始めたのだがこの日はワカサギが濃く、3.5mの底付近にワカサギの群れが留まっているようだった。
昼食後少しだけ釣果が落ちたので、Kさんはマットを敷いて昼寝の体勢に入っていたところ、再びワカサギが釣れはじめてしまう。
私が調子良く釣っていたので寝ていることはできず、マットに座ったままで釣り始めたKさんであった。
先週もそうだったことから午後からの鮭鱒には期待できず、ワカサギ釣りに集中していた13時12分のことだった。
隣の方がテントの外で呼んでいる・・・どうし
たのかと覗いてみたところ、何と!イトウを持って立っていたのである。
今日も駄目かと点検をしていたところ一番沖の竿が大きく引かれていたそうで、数分の格闘の後なんとか釣り上げたと言う。
しかし、針が外せなかったので、私のところに助けを求めに来たのであった。
計測してみたところ68cmで、頭が異常に大きく見えた。さすがはイトウである。
この方は防寒対策にカイロを入れた台所用の手袋をしていたがそれでも指先が冷たくて、最後に釣ったワカサギは針はずしができないと
私に助けを求めにきたくらいであった。
このイトウを最後の一匹として片づけをはじめ、その後は時間まで雪上に座り込んで余韻を楽しんでいたのか寒さに耐えていたのか定かではないが、その後姿が印象的だった。
事実、この日は気温はさほど下がりはしなかったが、断続的に雪が降り風も時々吹いていた。
この後は晴れ間も時々あったものの、終了間際から再び雪が舞い始めてしまう。
快調に釣り続けたワカサギ釣りではあったが、5本の針しかついていない仕掛を使っていた私は次々に針を失い、最後にはたった1本の針しか残らなかったにもかかわらず、それだけでも仕掛を下ろすたびにアタリがあるほど反応が良かった。
予定時間の14時15分までワカサギを釣り続け、最後に大物仕掛を片付けるがワカサギは元気に泳いでいた。
5分前にお隣さんが座っていた場所に行き、その1分後にはスノーモービルがやってきたので私はソリの後方に乗り、思ったよりも乗り心地が良い最後尾から撮影を楽しんでいるうちに管理棟に着いた。


今回もイトウは釣れなかったが、ワカサギが思ったよりも好調だった。
二人で376匹は、久しぶりに釣ったなあ!という気分になったし、サクラマス釣りにも思い残すことはない。


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