1月の釣り Ver.1



 ■ 新年初釣行!

1月5日 ワカサギ釣りの聖地である網走湖は、クリスマス前の解禁はもはや夢になってしまうかもしれないと思いなが
ら、道東だが近場である湖を目指すことにした。
昨年ワカサギシーズンの終盤に管理人さんから聞いた、来期はサクラマスのサイズが戻り大きくなっているだろうとの
言葉が脳裏に焼きついていたので、釣れる数は少なくなるだろうが昨年よりも強い引きを楽しめる期待があった。


未明の出発だったが、半月がでていてほんのりと明るさを感じる。
三国峠を越えてしばらくすると、雲の隙間に強い光が見え始めると周囲もぼんやりと明るくなってきて、除雪センターに
着いたときには車のライトが必要ないくらいに明けていたが、空の強い明るさは消えて全体に明るくなっている曇り空に
変わっていた。
午後からは道南を中心に次第に全道的に大荒れの予報だったので、昼頃には納竿しようと考えていた。

         
           例年よりも雪が多い                          荷物は少なめ
駐車場にはすでに10台以上の先行者がおり、さらに次々に車が到着していた。
曇り空のせいか気温は意外と下がっておらず、マイナス10℃程度だ。
情報どおり積雪は多く、すでに固く踏み固められている林の小道を進み始めた頃にはすでに7時を回っていた。
すぐに湖へ流れ出ている沢水の出口が見えるが、水位が高いので釣り人のテントが湖面に浮かんでいるようにみえるほどだった。
いつもは下り降りる道をそのまま平坦に進むといつの間にかそこは湖上になっていて、積もった雪はほぼ固まっているので歩きにくくはない。
先を行く5人の釣り人も同じポイントを目指しているのだろう、しばらく進むと5張ほどのテントがまとまっているシーズン初めの2番人気ポイントに到着。
足場は固く凍った20cmほどの厚さの氷の上に水が溜まったシャーベット層が15cmほどあり、表面は薄い氷が張ってい
るので強く踏みしめると割れてしまう。  
釣れるか釣れないかではなく足場の良いポイントを探し、テントを開いて穴を空ける場所を決めてからテントをずらして2つの穴をあけ、最後にテントを固定する。
テント内の作業をKさんに任せて、私はサクラマス用の穴あけをすることにした。
前日以前のものと思われる穴が残っていたので一箇所だけそれを使い、他に3個の穴をあけるが、氷が厚くないのでなんとか作業を済ませてテント内に戻る。
Kさんがようやく竿の準備を始めた頃、私はガソリンストーブに点火してテント内を暖め、サクラマス用の竿を一本だけ持参したエサをつけてセットする。
ようやく自分のワカサギ竿を組み立てていた7時48分のこと・・・Kさんに強い
アタリがあった。ただでさえ柔らかい、今シーズン初使用の竿が根元から曲がっている。
慎重に巻き上げているが、時折湖の底からのグイグイと引く強い魚の感触が心地好くも不気味であった。
仕掛けと道糸を繋ぐサルカンが見えたときフッと軽くなってしまい、オモリの舌針が切れていた。バラした魚はサクラマスだったことは、この後の釣果から推測できる。
私も早速仕掛を投入してみたところ、ライン1mおきのマーカーが20を数えて21になろうとしていた時にようやく着底。
水位が高いということはこういうことで、軽いオモリでは底まで30秒以上も要するのである。
しかし、すぐに竿先に反応が見える・・・こんな繊細なアタリを拾うために購入したニューロッドに期待通りの反応があっ
たことに喜びを感じつつ、合わせを入れて巻き上げると意外に重く、スレかなと思ったがワカサギはしっかりと口に掛か
っていた。
その後も投入してすぐに反応があり、深いので効率はすこぶる悪いが次々に型の良いワカサギが釣れた。
サクラマス仕掛のエサを、釣りたての生エサであるワカサギに交換しているときだった。

うれしい一本目
やや軽めのオモリに引かれて仕掛けがゆっくりと湖底に落ちていくが、途中から斜めに引かれていることに気付いた。
若干の流れはあるものの目に見えるほどの流れではないはず・・・ということは、何かがワカサギを銜えているとしか考えられなかった。
ゆっくりと出ているラインは底に着く様子も見られなかったのでしびれを切らして巻き始めたが、はじめのうちは大きな魚が釣れている手ごたえはなかった。
しかししばらくすると顕著に竿先にも引きが見えるほどはっきりと、グイグイと大きな魚が掛かっていることが伝わってくる。
そして穴から勢いよく飛び出してきたのは、想像通りのサクラマスだ
ったのである。飛び出す瞬間に、銜えていたワカサギが外れて穴に浮かんでいた。
見た目には28cmくらいかなと思っていたが計測してみると30cmあり、銀色に輝くサクラマスはいつ見ても美しい。
針を外す際に若干の出血があったが、水溜りで呼吸を整えてからリリースすると、弱々しくもすぐに泳いでいった。
8時50分の出来事であった。
一本目に気を好くして2本目3本目と竿をセットしていた9時15分だった。
2本目の竿に、早くもラインが横引きされているOMA現象が見られる。
竿先に動きはないが、明らかにサクラマスらしき魚がワカサギを銜えて引っ張っていることがわかったので、少し巻いてから合わせを入れてみた・・・ヒット!
一本目とは違って巻き始めから引いている感覚が心地好く、深さがあるのでファイトは長く楽しめた。
やがて穴からオモリが見えると抵抗は強くなりグイグイ引かれる感覚は

2本目は手ごたえ充分
楽しく、最後の瞬間は慎重に引き上げて銀鱗が舞う。サクラマスである。やや赤みがかった金色にも見える体色のサク
ラマスで、大きさは32cmである。
上あごにきれいにフッキングしていたので針は外しやすく、写真撮影をしてすぐにリリースする。
私たちの周囲には10張ほどのテントが張られていて、テントを張っているにもかかわらず野天釣りをしている人が数人
いるほど暖かかった。
自然ガイドセンターのお客さんも近くで釣りをしていて釣り場は密集している。シーズンが始まったばかりのせいか、サ  
クラマス狙いの釣り人は多くはなかった。
ようやく落ち着いてテント内で休憩しながら凍えた指先を暖め、マス用のエサを交換してからもう一本のマス仕掛を追加しようと考えていたが、エサ交換の前に一本目を釣り上げたテントから一番近い竿に早くも反応があった。
9時35分だった。
ファイトを楽しみ、32cmを確認してすぐにリリースしていると、釣り場に到着して間もない釣り人がやってきて、私の釣果を聞いて「お昼でやめようと思っていたので竿は出さないつもりだったけど、やっぱりやろうかな・・・」などと声を弾ませていた。
9時57分、エサの交換をしてテントに戻ろうとした時に竿先が揺れていることに気付く・・・まさか、またOMAか?
軽く聞き合わせてみたところ、グンとずっしりとした手ごたえを感じたのでKさんを呼ぶ。自分一人で楽しんでいるのは申し訳ないと思ったからである。
テントから竿まではさほどの距離ではないが、細い一本道は凍っていて歩き難いうえに脇にそれるとシャーベット層に足をとられるので、なかなかすぐにはたどり着けなかった。
左利きなので右ハンドルのリールは巻きにくそうだが、サクラマスの手ごたえは充分に味わい、赤いオモリが見えると同時にサクラマスが穴の中から飛び出して雪上に舞う。
しかしサクラマスをじっくりと眺めることもなく、Kさんはテントに戻って行った。

実に美しい
エサの交換や仕掛けの点検は意外に時間がかかるもので、テントに戻ってもほとんどワカサギ釣りをする暇はなく、食
事をしたり置きっぱなしの仕掛けが絡んでしまったりしていたので、私が釣ったワカサギの数はKさんの4分の1程度だ
ったろう。
10時50分、再びラインが斜めに、それも随分と横に引っ張られていた。合わせを入れると手ごたえも重かったので、期
待してファイトを楽しむ。
やがてオモリが見えてきて、そこからは慎重に抜き上げるときが最も興奮する部分で、このサクラマスは随分と腹が太
くて美しかった。
        
           タウシュベツ橋                               5本目
さらに5分後、エサの点検も済まないうちに竿先に反応が見えていた。
Kさんを呼ぶも、なかなかテントから出てこなかったので合わせを入れて待つ・・・竿先は穴に向かって突き刺さっていた
が心配はなさそうだった。
ようやくたどり着き巻き上げると、さらに竿先が穴に向かって突き刺さる。
ゆっくりと巻き上げファイトを楽しみ、オモリが見えるとすぐにサクラマスが首を振り体をくねらせながら雪上に現れる。

        
            6本目リリースの瞬間
2本目のような赤みがかった独特な色をしたサクラマスで、これもなかなか型が良かったが上あごにきれいにフッキン
グしていたので針外しは簡単だった。
やさしくリリースすると元気に尾を振り穴の下に消えていくのを見ていたが、写真撮るのを忘れたことに気付く。
テント内では再び私の仕掛けが絡まっていたので、もうワカサギ釣りはしないと決めて休んでから仕掛けの点検に出かける。
一通り点検を済ませてテントに戻りかけたとき、近くの釣り人が私の竿のアタリを見ていて教えてくれた。
見ると竿先が大きくお辞儀を繰り返していて、明らかにサクラマスが食いついている。
これも難なく釣り上げてこの日最後の7本目となり、4個目の穴を利用することもなく僅か3本の竿での釣果にしては凄い!
しばらくしてから一番奥の竿を片付けて、あまりにも暇だったので切れたラインと仕掛を結んで仕掛を下ろしてみたが、
底までは届かず数匹しか釣れなかったが、Kさんは着実に釣っていた。
正午を過ぎたので片づけをはじめた頃は雪がちらほらと舞い始めていたが、テントを片付ける頃には止んでいて、釣り
人も半数ほどになった釣り場を後にした。

          

運動不足と最後の片付けに体力を消耗した私はソリを引くKさんの後を着いていくのがやっとで、上下ダウンに身を包
んでいたので駐車場に着いたときには汗だくになっていた。
駐車場にはまだ15台ほどの車が停められていて、近くの温泉街で昼食を済ませてからの出発となった。
心配していた吹雪にはならず、小雪が舞うなか明るいうちに自宅に着くことができた。


ワカサギは二人で60匹ほどしか釣れなかったが、予想外のサクラマスの釣果は今後に過大な期待を持たせてくれるも
のとなった。





 ■ 聖地釣行

1月8日 聖地解禁は7日にずれ込み、私がこの釣りを始めてから最も遅い解禁となった。
全道的な大荒れは特に帯広釧路地方に豪雪をもたらし、聖地も例外ではないと思っていたのだが、現地では僅かに降
っただけらしかった。
星空という快適な天気に、国道は圧雪の所々にアイスバーンが存在する油断のできない運転を強いられたが、ほぼ予
定通りの時間には駐車場に到着。


9日の混雑
駐車場から見える釣り場には20張ほどもテントが立てられていて、夜釣りをしているのだろう、時々歓声が聞こえてく
る。
夜釣りは禁止されているし、かつて経験済みの辛い釣りであることがわかっているので、車内泊の準備をしてさっそく一
杯やってから布団に入る。


1月9日 携帯電話の目覚ましになんとか起きて外を見ると、ほぼ満車状態であることに驚く。
朝の支度を済ませてから、釣り場への準備をしているところにキッシーさんが上着を着ずに現れた。
気温はさほど下がっていなかったが、上着が必要ないほど暖かくはないはず・・・聞くと、前回の長靴に続いて今回は上着を忘れてしまったそうである。
いつも完璧に準備をしてくる彼の失敗に、いつも失敗ばかりの私は内心喜んでいたりして・・・。
ともかくテントに入ってしまえば暖かいので、早く釣り場に行こうと出発!
管理棟は明かりがついていたが係員は不在だったので、入場料は後ほど・・・。

受付に人がいなかった
氷上は情報どおり積雪がほとんどなく、それでも強く踏みしめると10cmほどぬかるむ。たくさんのテントの間をソリを引
いて進み、テント群が切れたところで簡単に場所が決定。
テントを広げ場所決めをして、ガソリンストーブに火を入れる。
1台だけでは少し寒かったので私のストーブにも火を入れようとしたところ、コックをひねるとその手にガソリンが・・・。
何と!コックの付け根からガソリンが噴出していて、危なく手に火がつくところだった。

        

ストーブは諦めて竿の準備中をしていたところ、キッシーさんが早くも仕掛を投入していた。
しかし、不思議なことに水中からの魚信が全くないと言う・・・。
私たちも仕掛を投入するが、底にも表層にも、どのタナにも魚はいないようだった。
そんな状態のまま時間は過ぎていき、周囲でも同じような状態であることがわかった。
やがてメガオさんが到着し今回のメンバーが揃ったところで、ようやく私の仕掛けにワカサギが釣れたが、後が続かな
かった。
今回、メガオさんはポータブル石油ストーブを用意してくれて、ガソリンのように強い火力ではないが仄かに暖かく、静
かなのがとても好い。
もちろんタンクに補充することなく、最後まで使用することができた。
このままの状態が続くはずはないと信じて続けていたところ、メガオさんに強い引き・・・カワガレイかと期待したが、顔を
出したのはウグイだった。
 

そして、これが契機ではないがワカサギが少しづつ釣れはじめてきたのである。
今シーズンのワカサギは平均して型が良く、時にはチカかと思うような大きなワカサギも釣れる。
私ははじめのうちは手ばね式で釣っていたが、今期購入した竿の長さと重さが手ばねには違和感がありリールに変
更していた。
次々とやってくる釣り人の足音やソリを引く音が忙しく、ふと外を見たときには100張もあるかと思えるテントのカラフルな釣り場になっていた。
釣れはじめたといっても例年のような数釣り状態ではなく、多くても2匹までである。
9時半過ぎにはKさんにカワガレイがヒットして、さほど大きくはないがワカサギと違った強い引きを楽しんでいた。
時間の経過とともにワカサギの群は増えているらしく釣果は上向きだったが、私たちはおしゃべりに食べ物も楽しみの一つで、実はワカサギ釣りの楽しみはこれが大きい。
11時近くには釣果は3桁に達し、一度に釣れる数も3匹、4匹と多くなり始めていた。
昼食後にKさんが釣ったカワガレイは10cmにも満たないカレイで、あまりにもかわいいので思わず写真撮影をする。
しかし、その10分後には私にあの魚が・・・外道の王様ウグイである。
そんな魚でも釣れるとうれしいのは不思議だが、生き物には変わりがないのでやさしくリリースする。
さらに10分後、今度はメガオさんにカワガレイがヒットし、ついに私に5匹のワカサギが釣れたのが13時半だった。
この頃から入れ食いに数釣りできる状態になってきた
が、メガオさんはすでに釣り飽きて道具を全て片付けてしまっていた。
どのタナでもワカサギはいるが、大きなワカサギは底に潜んでいるらしく、時には15cmほどの抱卵した腹の太いワカサ
ギが手ごたえ充分に釣れる。
やがてキッシーさんも満足して納竿したが、一番釣れていなかった私はその後も続け、Kさんはというと私には数で負け
    
たくないと竿を下ろすことなく続ける。
しかし、14時半にはバケツの底までワカサギが一杯になりそうだったので、ようやく納竿を決める。
片づけが済んでソリを引き始める頃には、あんなにあったテントも半分以下になっていて、やや冷え込んできた氷上を駐車場に戻る。
荷物を積み込み出発の準備が整って、キッシーさんと話をしていたときだった。
キッシーさんがFOSのdchiyanさんの車に気付いたので、さっそく電話をして居場所を確認。
釣り場の中央付近から手を振っているdchiyanさんを訪ねる。

納竿時
野天で釣りをしながら私たちにお付き合いおしゃべりをしてくれて、知床以外の場所でお話できることが私たちにも新鮮
で楽しかった。
駐車場を出発し、北見市内の釣具店に寄る予定は中止して、遠軽で夕食を済ませてからの帰宅となる。


解禁直後ではこれまででは一番釣れなかったが、後半は聖地らしい釣れ方を味わえたので満足だった。
何よりも今期は型が良かったので干して焼いて食べると、酒の珍味として、或いは食卓の旬の一品として風味が増して
これは旨い。
私の釣果は289匹、Kさんは293匹だったので解禁当初としては最低の釣果となるが、例年バケツ一杯は500匹からす
れば型の良さが納得できる。

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