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■ 鮭児(ケイジ)Get!
まことに小さな国の、ある釣り人が絶頂期を迎えようとしている。
その列島のなかの一つの島が北海道であり、北海道は道北、道南、道東にわかれている。
さらに道東の主邑(しゅゆう)は帯広、釧路、北見、網走にわかれ、もっとも北に位置する釣り場に、正に絶頂期を迎え
ようとしていた私が向かっていたところから物語が始まった。
12月4日 本当はこの日に釣りをする予定だったが、全国的な大荒れの天気になってしまった。
結果的にはこれが大変好かったのだが、それはまだ先の話になる。
ったので暖気運転をしている車は数台しかなかったほど。
早い時間の到着だったので、20時過ぎには横になってしまった。
8時半少し前のこと・・・ようやく私にアタリが来るのだが、これが実に渋い!
あまりの渋さに、アタリがあってから合わせを入れるまでに5mほども使ってしまうほどで、なんとかほどほどの銀ピカ雄
をゲットした。
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1本目はキープ 顔の割りに渋い
次のアタリはもっと厳しいもので、食い上げたり離したりしているうちになんとか合わせを入れたもののすぐにフックオ
フ・・・。
その場から誘いをかけると近くを泳いでいたアキアジが誘いに乗って、再び食ってフッキングといった辛抱のヒットだっ
た。
銀ピカではあるが縞が入っていて、顔もやや怖いのでリリースとした。
しかしこのような渋いアタリというものは、誰でも簡単に釣れるアキアジ釣りよりも面白く、ヒットするまでの楽しみ方が私
は大好きだ。これもいつも書いていることであるが・・・。
ウルシJr夫妻も来ると聞いてさらに賑やかになるなあと楽しみにしていたところ、師匠が奥様とともに現れた・・・。
なんでもトバ用のアキアジでも釣ろうかと様子を見に来たところ、見たことのある車だなあと吸い寄せられるように来て
しまったらしい。
もちろんそのまま釣りをすることになったことは言うまでもない。
お昼近くになってどっぺさんが現れおしゃべりをしていたのだが、どっぺさんといえば彼の帰り際に私がヒットしてタモ入
れをしていただくことになっている。
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今回ももうそろそろ行かなければならないと話していたので、この朝彼が遠投でヒットさせた話に乗って力の入ったキャ
ストしたところ・・・なんとアタリ・・・ヒット!
今回もどっぺさんにタモ入れをしていただき、彼は颯爽(さっそう)と帰って行った。
ちなみにアキアジの方はというと、先ほどのアキアジによく似た雄だったのでリリースとなった。
昼食を車内でのんびり温まりながら食べているときにウルシJr夫妻が到着し、食事をしながら外を見ている間にもポツ
ポツと釣れていた。
この日師匠はハンディタイプのフルハイビジョンカメラを持参していたので、今日はこれでみんなの釣れている姿を撮っ
てやるとオレンジ色のケースに入れて持ってきていた。
しかしこの時期のアキアジはヒットしてから取込みまでがあっという間に済んでしまうので、車にカメラを取りに行ってい
る間にだいたいは網の中だった。
食後の12時45分、相変わらずの渋いアタリにヒットしたのは強面のブナ雄で、久しぶりに自分でタモ入れをした。
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この時師匠にもヒットしていて、なんとダブルヒットとなったのだが、この後にもっと凄い仲間内の4人にヒットという出来
ていて、皮が薄く皮と身の間の脂がぶ厚い。 ケイジは1万本に一本の魚だというが、それは漁の話であり、実際に釣り
場のそれも私が通う港に限って言えばどうだろう?
ひとシーズンに1万本までは釣れないだろうから、釣りの方が確率は高いような気がするのだが・・・。
事実、この日は3本、翌日は1本、さらに翌週の土曜日に1本釣れていて、今年に限ってのことではあるがかなり確率
は高い。
ちなみに、お金の話で恐縮だが、2kg前後のもので7万円ほどでネット販売されていて、とても買って食べようとは思わ
ない魚であるから、生涯最高の贅沢をさせていただこうと思っている。
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生殖巣では雌雄判別できず
13時01分、Jr奥様にヒット!
真新しいショッキングピンクの手袋でアキアジとのファイトに挑み、ウルシさんのタモ入れにて無時ゲットした時には「や
ったー!」と喜びの声をあげていた。
ただ、後ずさりするときに、さきほどウルシさんが釣り上げたアキアジを踏みそうになっていた。
その後、ゴッドボーズさんがアキアジがウキを食べていると言うので見ると・・・何と!鯉がエサに食いつくように海面の
ウキにゆっくりと顔を出して咥えようとしていたのである。
その姿は実に間抜けでみんなに笑われていたが、あんな食い方をしているから今のアキアジはアタリがはっきりしない
のだろう。そのアキアジは、その後も2回ほど顔を出していた。
15時過ぎにウルシJrが釣ったのが最後で、その後は片付けを始めたのだが・・・帰りかけた日が暮れようとした薄暗い
時にヒットしはじめ、私たちの周りの釣り続けている人の全てがヒットしているように見えるほど巨大な群れが通過して
いるようだった。
名残惜しくはあったが、後ろ髪を引かれながら釣り場を後にした。
鮭児については数日前に釣れていたと聞いたが、翌日も溢れるほどの釣り人の数のなかに一本の釣果があったらし
い。
私もメジカかケイジか半信半疑だったのだが、愛読書の「知床の魚類」の詳しい解説を読んで鮭児を確信するに至る。
たぶん一生に一度あるかないかの体験だけに、いつまで経っても興奮が収まらない。
仲間と約束した次週の最後となるだろうアキアジ釣りが無事にできれば、この興奮も自然と覚め落ち着くだろう。
■ 今期最後のアキアジ釣り
12月10日 天気が好いので今週も出かけることにしたが、土曜日一日だけの一発勝負のつもりだった。
幸いこの日の昼過ぎに港に到着し、休日だったメガオさんが様子を見に来てくれた。
先週の釣り場の近くに空きがあったので釣り座はすぐに決まったが、周囲の釣り人に状況を聞くとあまり釣れていない
と皆さん口を揃えて同じ答えが返ってくる。天気は好く晴れていて、暖かく風もない。
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足元は残雪が残っていて汚れ隠しをしてくれているので、打ち捨てられたヒトデ以外は気持ちが好いくらいにきれいだ。
メガオさんとおしゃべりをしながらリーリングしていたところ、アキアジからのやや明確なアタリがあり、さほど苦労するこ
唯一好かったのが、日が沈んでから雪で真っ白になった高い山々が、日に照らされて朱色になっていて美しかったこと
くらいか・・。
片付けをしていると仕事帰りのゴッドボーズさんがやってきて、翌日は一緒にできるかもしれないとのことだった。
12月11日 のんびりしていたので釣り場に着いた時にはすっかり明るくなっていて、近くで早くもアキアジが釣れていた。
ゴッドボーズさんが先に到着していて、次いで師匠が、私たちは買物をしていたので最後になってしまった。
5か月近くにも及んだアキアジ釣りもあっという間に過ぎ去り、少しは空しくなるのかと思っていたが、未だに先週の鮭
児の興奮が残っていて、次の釣りがはじまるまでは尾を引きそうだった。
2010年の釣り 終了
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