12月の釣り Ver.1



 ■ マスノスケは本当に釣れるのだ

12月10日 12月11日は河口規制解除の日として、深く私の頭には刻まれている。
しかし、ニシン釣りへの期待と、すぐにでも車内へ暖をとりに行ける手軽さから港での釣りに決定。

自宅を出発するときには積雪が20cm以上もあったが、1時間ほど走るとすっかり雪は姿を消していた。
12日に開通する高規格道路の下を走る国道を東に、鹿とアイスバーンに注意して走る。
先日の鹿との衝突部分は修理済みなので二度とご免だが、さすがにこの寒さでは鹿の姿は全くなかった。
目指す港に到着したのが22時前だったが、人気ポイントに7台ほどの釣り人の車が停められているだけで、がらんとした港はすでに魚
は釣れていないのかと思われた。


12月11日 目覚めたのは6時。外は薄っすらと明るくなり始めていて、周りを見るといつの間にかびっしりと釣り人の車
で一杯になっているではないか。
気温はマイナス、空は曇っていて外での準備は凍りつきそうなので車内でガイドにラインを通したりなど、できる限りの
作業を済ませてから外に出た頃にはすっかり明るくなっていた。
金曜日だというのに釣り人で満杯になってはいたものの、ニシンは釣れていないのかサビキ竿を振っている人はほとん
どいない。
せっかく準備したサビキ竿ではあったが僅か数投で諦め、みなさんが狙っているところのアキアジ釣りに切り替えた。
そこに現れたのは松さんで、今朝4時に到着したときには釣り人で一杯になっていたとのことだった。
松さんは先週メジカを釣ったそうで、生殖巣では雌雄の判別は不可能な本物のメジカだったと言うからうらやましい。
ここ最近ではメジカやクチグロがポツポツと釣れているらしく、アキアジも日によってはたくさん釣れているのだと聞いた。
しかしこの朝は、全体でも全く誰のロッドも曲がらないうちに正面から朝日が昇り始めたものの、それはほんの一時薄目を開けた程度の弱々しい朝日だった。
7時を過ぎた頃にようやく近くでアキアジが上がり、そのときばかりは集中してキャストを続けるが、指の冷たさに耐え切
れずFFヒーターの吹き出し口で指を暖めるために車内へと戻ることになる。
8時を過ぎたので朝食を食べながらテレビを観て、すっかり温まったところで釣り場に戻ると、キングが2本上がったと
の声が聞こえてきた。
キングと言えばキングサーモン、つまりマスノスケのことで、オオスケとかスケとも言われる名前のとおり鮭の王様で
ある。
「スケ」とは、その昔地方で一番偉い地位にいた次官を指すことから鮭の王様にふさわしい名だと考えられるが、最近ではキングサーモンが多く使われており、マスノスケはあまり使われなくなっているようだ。
そのキングサーモンは私の左20mほどのところで70cmの小ぶりのもの、そして右に25mほどのところでもう一本釣れたと聞いたので、右の釣り人の魚を見せていただくことにした。
丁度クーラーボックスに入れるところだったので、お願いして撮影をさせていただいた。
大きさは80cmまではないが、誰の目にもアキアジではないことがわかるほど太い。
太いのでなおさら顔が小さくて黒く、はがれやすいという鱗が持ったときにはがれたのだろう、尾びれの付け根と側線部
が顕著に消え失せているが、他の部分はまぶしい宝石のようにも見えて、尾びれなどは先まで光り輝いている。
そして、キングサーモンの判別が容易にできる背びれの黒い斑点も確認した。
続いて動画撮影をしていると、クーラーからはみ出した尾びれを指を挟みこみながら閉じた釣り人が「かあちゃんビックリするべなー!」と言った一言
が印象的だった。この釣り人はエラ取りもしなければ洗いもせず、エサは市販のものを使っていて、特別なことは何もし
ていないそうだ。
当然この後もさほど釣れないにもかかわらず釣り人は増える一方で、チカ釣りの釣り人が僅かの隙間に入釣するので
その賑わいは最盛期並みである。
雲はいつの間にか消えて青空が広がり、港内に波はなく気温も風がない分暖かく感じられ、空だけ見ていると冬だとは
思えないほどだった。
しかし、午前中は全体の釣果でも10本程度で、私の近辺に集中しているが私に反応はない。
お昼近くに港内のトイレに向かうと、掃除の方から掃除の後でシャッターを下ろすので使用できませんと言われ、仕方たがないので車で他のトイレを利用したが、後で聞いた話ではトイレの暖房機が盗まれたらしく、已む無く使用禁止にしらしい。
とんでもない輩がいたものだ・・・・・。
午後からの時間は瞬く間に過ぎて行き、日が後方に沈みかけると急激に寒さが凍みてくる。
16時近くなると釣り人が次々に納竿し始め、この日のキングが釣れたポイントまで開いているのに誰もそこに行かない・・・おかしいなあと見に行ったところ「本日16時に閉鎖します」と貼り紙がしてある・・・。
慌てて片づけをはじめ、16時丁度に追い出されるように港を出ることになった。
結局この日は全体でも15本程度しかアキアジは釣れておらず、さらに最高のポイントが閉鎖となれば、釣りの新聞情報
を鵜呑みにして遠方からやってくるだろう釣り人たちは路頭に迷うことになる。
夕食などの買出しを済ませてから、翌朝のポイントについて随分と考えた結果、河口規制が解除になっているので始め
てのポイントではあるがアキアジの釣れる可能性が少しでも高い場所を確保して車内泊をする。
22時過ぎにイノケンさんが到着予定だったが、睡魔に耐え切れず20時には寝てしまった。


12月12日 6時の目覚ましが鳴るまで深い眠りについていて、釣り場で目覚めたような気がしなかった。
予定通りイノケンさんは到着しており、さっそく準備を始めるが向かい風に変わっていて、雨や雪は降っていなかったが
寒さを感じる。

         

しかし、このポイントはまったく初めてなので目の前の海にアキアジがいるような気がせず、惰性と気合でキャストを繰り
返すような希望のみえない釣りとなる。
好ポイントと思われる角に入釣していた人が何度かアタリがあったと言うが、どうも信用できず、時々車内で暖をとりながらのダラダラした釣りとなっていた。
事実、釣れそうな気がしなかったのでタモも用意しておらず、チカ竿は出していたが釣れないので置きっぱなしにしておくと、時々ワカサギサイズのチカが釣れている始末。
そんな場の空気が一転するヒットが、私の隣のKさんにやってきた。
本人さえ半信半疑のヒットだったが手ごたえはアキアジそのもので、大きく曲がったロッドをみてすぐに自分の仕掛を巻き上げる。
イノケンさんのタモを借りて、構えたところで・・・フックオフ・・・。
残念だったがこのヒットでアキアジが釣れる可能性があると期待に胸を膨らませ、自分のタモを足元に用意して真剣にキャストを繰り返すようになった。
そして9時01分のこと・・・海に浮いた小さなゴミ袋でも引っかかったような微かなアタリに「きたきた!」とイノケンさんに伝える。
合わせのタイミングには全く自信がもてなかったが、海サクラに使用していた10フィートのロッドがバットから大きく曲がる・・ヒット!
適度に暴れてくれるアキアジは、ロッドが柔らかいので少々不安を感じ、それでもイノケンさんがタモ入れをしてくれて無事ゲット!
昨日キングサーモンを見ているので小さくて貧弱なアキアジに映るが、まずまずの銀ピカメスだった。
その後、近くの道の駅までKさんとともに出かけて戻ると、イノケンさんが大きな魚をつかんでいる姿が見えた。10時01分のことだった。
もしかして、留守中に釣っていたりして・・・などと話していた矢先の出来事だった。
イノケンさんはメスを欲しがっていた角の釣り人にアキアジを差し上げて、さらに強まった風に耐えながら「キング!キング!」と続けていたが、ともに車内で過ごす時間が多くなってきていた。
昼食後、風が幾分弱まってきたところで、最後のキャストをしてから片づけを始めた。
結局、周囲で釣れたアキアジはこの2本だけで、チカはこの場所に

イノケンさんのアキアジ
はあまりいないようだった。
港を離れてから、冷えた体を温めるために温泉に向かうと、途中にある次なるターゲットとなる魚の生息するポイントが
見えてきた時点で、嗚呼・・・今年も終わったなあと実感した。


今期は8月1日に始まり、そしてこの日12月12日に終了。
4ヶ月以上も続いたアキアジ釣りだが、釣行回数の割にはさほど数は釣っておらず、10月の最盛期に三度もボウズだ
ったことは特に大きな要因だろう。
自然相手、運次第のこの釣りだから是非もないが、これでも私には今期は幸運が多かったような気がする。
今期もお付き合いいただいた仲間のみなさん、そして釣り場で出会った人たちと魚たちのお陰さまで、今シーズンも無
事に終えることができたことに感謝したい。


  ありがとうございました。  



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