
9月の釣り Ver.3
■ 私のブッコミスタイル
9月18日 秋の大型連休は、私にとっては迷惑なものだ。それでなくとも週末は混みあう釣り場が激混みとなることは必
須だからである。
しかし、この連休のお陰で釣りができる人々も多いだろうから、せめてマナーを守り楽しく釣りを楽しんでいただきたい。
大型連休といっても休みの間中釣り三昧など体力的にもできるはずもないので、今回は2日間、それも2日目は朝だけ
の釣りで充分だろうと計画する。
この日の午後から出発して、翌朝のための下見をしようと思っていた。
メガ弟さんが朝マズメに出撃していたが、先週に比べると魚は減ってきているとの連絡が入る。私は午後から出発し、
好天の空の下で快適なドライブを楽しみ、現地着は15時前だった。
平日にもかかわらず、河口付近には肩を寄せ合ってスレたアキアジを狙うルアーや引っ掛け針をキャストする人達がひしめき合っていた。
その様子を遠巻きにしながら、河口から少し離れたブッコミポイントに向かって歩き、メガ弟さんを探す。
程なくしてメガ弟さんと合流し、例のメガ弟さんの親戚だと聞くおじさんの釣り場でウキルアーを始めてみた。
ついでに、おじさんの仕掛けのついた竿を一本借りて勝手にキャストしておく。
アキアジは頻繁に跳ねを見せてくれるが反応はなく、特に沖合いの岸から300m以上離れたところではギラギラとアキアジの鱗が陽の光
|
|
 |
 |
|
に反射して、かなりの数の群れがいることが私でも確認できる。
次第に山際に太陽が近づくと、急に辺りは暗くなってきた。
ウキが見えなくなる前にキャストを中止し、この日は泊まり込むと言うおじさんにロッドケースとイスを預かっていただき釣り場を後にした。
メガ弟さんと別れ、コンビニで買い物を済ませてから近くの道の駅に向かった。
軽自動車の車内とは思えないほど意外に快適な広さの車内で軽く一杯やりながら夕食を済ませ、気になる天気予報を携帯電話のテレビで確認する。
天気が好いぶんだけ少々冷え込むようだが、寒いと感じるほどではないようだった。
|
9月19日 少し早めに出発して河口に着くと、こんな時間からすでにルミカを付けてキャストしている人たちの姿があっ
た。
早起きしているから何時に来てもいいと言っていたおじさんだったが、姿が見えなかったので呼んでみたところ「早いっ
て!」そんな返事とともに、にこやかに荷物を渡してくれた。
キャンプ道具も背負ってきたので思ったよりも辛く、それでもおじさんに荷物を預かって頂いたのでずいぶんと体力の消
耗は少ない。
釣り場に着いて準備をしているところにメガ弟さんも到着し、周囲では早くも仕掛を投入しているのか竿先にルミカを付けている釣り人もいる。
左隣の二人は12本すべての竿先にルミカがついているのでなかなか壮観であるが、竿先が揺れることはなかった。
私のブッコミ釣りの定番スタイルとなるべき3本の竿の準備を済ませて、あとは竿先が見える程度の明るさになるのを待つ。
4時半前には3本すべての仕掛を投入し、アタリを待つが・・・・・反応がない。河口と私たちのポイントの中間点付近で少しだけ釣れていた様子が見えただけだった。
|
|
 |
西の空は薄いオレンジ色に染まり、山際の雲が切れているのでそこから太陽が顔を出すのだろう、もうじきまぶしい光
が砂浜を照らしてくれる。
しかし、釣れない。アタリが全くないのである。
竿を出してから待つこと1時間、ようやくアタリが自分の竿に見えた。
砂浜ダッシュで駆け寄り、覗き込むように竿先の動きを見てから竿を静かに手にして水平にしながら弛みを取り、ここ
で一息に力強い合わせを入れた・・・ヒット!
一瞬だがずしりと重い手ごたえを感じ、乗ったことを確信して巻き上げる。
しかし、この後はナイロンラインのために魚がついているのかわからないほど手ごたえはなくなってしまうが、やがて自
分が釣られた事に気付いたアキアジが遠くで抵抗をみせているのが感じられる。
 |
|
半分ほど巻き上げてくるとその抵抗は更に強さを増し、時折海面にアキアジの姿がバシャリバシャリと見えるとヒット中の快感が私を包み込み、何とも言いようのない心地好さに陶酔する。
波打ち際にアキアジが近づくと、メガ弟さんが近くで寄せ波の動きを計りながら引き抜くタイミング時には合図を送ってくれる。
アキアジが波打ち際に横たわると、すかさず磨きぬかれたキックでアキアジは一気に海から遠くなり、数回のキックで竿立て近くまで運ばれていた。
|
状態の好い銀ピカメスはレギュラーサイズで、相変わらずブッコミ釣りでは銀ピカ揃いだと納得。
砂だらけのアキアジはブラシできれいにしてから写真だけ撮り、仕掛けにエサをつけてキャストしておいてから処理をす
るのだが、キャスト中にすでにメガ弟さんが魚の処理をしていてくれた。
今シーズンは自称「名アシスト」と言うだけあって、その処理はすこぶる早かった。
一本目のヒットから10分後、キャストしなおした竿はやや右よりだったために左から中央の竿立に移動していたが、その中央の竿に再びアタリがあった。
合わせると・・・これも確かな手ごたえが感じられヒット!
先ほどよりも強い引きが伝わってきて、やや沖目で暴れている姿も時々確認できたほどだった。
この魚もメガ弟さんが波打ち際から蹴り上げてくれてゲットとなる。
まずまずの銀ピカオスだった。
|
|
 |
先ほどと同じようにメガ弟さんが手早く処理をしてくれ、流木三脚に吊るされていた。
その後は静かな海に戻ってしまい、6時には青空が広がり日差しが強くなってきたので、アキアジは袋に入れて日陰に
置いておく。
 |
|
ベタ凪の海面上に時々アキアジが跳ねるが、竿先は無反応のままだった。
6時50分、何気なく空を見たところ、60度ほどの天空に不思議な虹が見えた。
その虹は逆さになった虹で、虹の下には雲、そして更に下の延長線上に太陽がある。
後でイノケンさんが調べてくれたこの虹は「環天頂アーク」といい、環天頂弧、天頂環、天頂孤などともいわれ、逆さ虹ともいうそうだ。
大気光学現象に夢中になって動画撮影をしていたところ、私たちの姿を見た釣り場へ向かう途中の釣り人も空を見上げて虹に気付き、その場でカメラを取り出していた。
|
この虹は、いつ現れていつ消えたのかは不明である。
7時38分、メガ弟さんが私の竿にアタリがあると教えてくれ、私が駆け寄った時には硬い竿がバット部から曲がってアキ
アジの引きに耐えていた。
竿立てから外すとそのまま合わせを入れるが、竿を持った瞬間からアキアジの引きが強く伝わっていたのでOMAでし
っかりフッキングしている。
このアキアジは巻き始めから強力にファイトしてくれて、ブッコミ釣りのナイロンラインではなかなか味わいにくい遠投時の遠くでのファイトも楽しむことができた。
実はこの日、前回の波打ち際でのライン切れ失敗を教訓にして、アキアジが波打ち際に近づくとドラグを少し緩めた釣りをしていたので、波打ち際で待っているメガ弟さんには少々時間がかかり申し訳なかった。
上がったアキアジは6kg以上はあっただろう、縞模様の現れたオスだった。
|
|
 |
3本も運ぶのは大変だということで、メガ弟さんが釣り場で知り合った苫小牧から来たという老夫婦に差し上げると、こ
 |
|
れがウコンドリンクになって帰ってきた。
この一本は周囲でも全く釣れていないときのヒットだったので、あの逆さ虹のご利益かと勝手に感謝していたが、これがこの日最後のアキアジからの便りとなってしまった。
退屈な時間を周辺の散策をしたりして過ごし、時には目の前を通り過ぎるアキアジをウキ釣りで狙ってみるも全く見向きもしてくれない。
そして、次第にアキアジの跳ねは少なくなってしまっていた。
10時頃に左隣でテント泊していた二人組の竿にアキアジの反応があったが、テント内で寝ていたらしく、アタリを伝えた時にはチャンスを逃してしまっていて、これがこの釣り人のこの日最初で最後のアタリだったようだ。
|
そろそろキッシーさんが到着する時間だろうとメガ弟さんが迎えに向かったので、私はテントの設営を始める。
しばらくすると、キッシーさんが重装備の荷物を背負って現れたのが13時近い時刻だった。
私とともにこの夜はキャンプをする予定だったので重装備だったのだろうが、それにしてもこの荷物を運びきったのはなかなかの体力である。
午後からも天気は変わらず、忘れた頃にエサ替えをして粘っていたがアキアジの跳ねはほとんどなくなってしまっていたので希望など持てなかった。
やや向かい風だったので、日陰に入ると寒いくらいに感じる。
結局アタリもなく、暗くなり始めた頃にメガ弟さんと釣り場を離れることになった。
|
|
 |
夕食はやや不調だった腹具合を案じて蕎麦を食べることにして「新そば」に引かれて入ってはみたものの、麺がゆです
ぎていてあまり美味しくなかった。
そば屋を出ると雨が降っていて路面が濡れていたが、釣り場に戻る頃には雨は上がっていた。
キッシーさんと二人、強くなった風に背を向けて軽く一杯やってからテントに入った。
9月20日 仲間の声に目覚めたが真っ暗なのでなかなか起きられず、もう少し寝ようかと思ったときにアキアジとのファ
イトを考えた瞬間・・眠気は消えた。
左隣のテント泊の二人組は、昨夜はキャンプファイヤーをしながら夜釣りをしていたが、夜中の満潮時に「ウワー!」と言う妙な声が聞こえてから静かになっていた。
推測するに、満ちてきた潮に竿立てが倒されたのではないかと思われた。
竿立にエサをつけた竿を乗せて準備を済ませ、竿先が見えるようになるのを待ち、キャストを始めたのが4時半前だった。
向かい風が波を呼び、空は厚い雲がほぼ全面に広がっているが、東の空の一部にぽっかりと雲の薄い部分があるのが不気味にもみえる。
|
|
 |
波は更に高くなりそうな気配だが、昨日よりは釣れそうな雰囲気だった。しかし朝の反応は薄く、周囲で僅かに釣れる
 |
|
様子が見えただけだった。
4時57分、私の竿先に反応があり、砂浜ダッシュ!
竿先が僅かに沖に向かってお辞儀をしていたので、そおっと竿を持ち水平にしてたるみをとってから大きく合わせを入れた・・・根がかりのような手ごたえにヒットを確信し、この日初の至福のひと時を味わう。
遠投なので、何度か「果たして魚はついているのか?」そんな感覚もあったが、キッシーさんが動画撮影をしてくれるなか、仲間がアキアジを蹴り上げ舞い上がった砂がキッシーさんに
|
かかってしまうハプニングも交えて無事ゲット!アキアジはきれいな銀ピカのオスだった。
ところがこの時、別の私の竿先が大きく揺れていて、何とヒットしている様子・・・。
メガ弟さんが合わせを入れてそのままファイト!私はそれを動画撮影することにして、メガ弟さんのファイトシーンを撮っていたのだが、メガ弟さんの竿にも反応があったので撮影はここで終わってしまった。
メガ弟さんから自分の竿を受け取りファイトを始め、程なくして2本目のアキアジが上がった。
|
|
 |
一本目よりは若干サイズダウンしたものの、これも銀ピカだった。しかし、〆てから気付いたのだが、お腹に引っ掛け針
のものだろう傷がある。
2本のアキアジは、すぐにメガ弟さんのアシストで流木三脚に吊るされていた。

落ち着いたところで周りを見ると、水平線上東の一部の空が黒い雲と薄い雲の部分がオレンジ色になっていて、その
様相は空が怒っているようにも見えた。
 |
|
この後40分ほどの小康状態が続いていたが、5時37分にはイノケンさんに待望のヒット!
キッシーさんと私が動画撮影をしている最中に、残念ながらフックオフ・・・。
しかし、3分後に再びヒットしてファイト開始。メガ弟さんが波打ち際で待機して、キッシーさんが動画撮影をはじめた頃にはアキアジはすぐそこまできており、イノケンさんがバックしてアキアジを引き上げると、メガ弟さんが鮮やかなキックでランディング・・・その時に舞い上がった砂は、またしてもキッシーさんの顔面を襲っていた。
5時49分、今度はそのキッシーさんにヒット!
今期アキアジ用に購入していたニューロッド・・・ではなくて、昨年もこ
|
のロッドへのヒットが多かったセットものの安価な柔らかいロッドだと言う。
動画撮影を続けていたところ、波打ち際からは仕掛だけがズルズルと帰ってきたので残念ながらバラシかと見ていたと
ころ、突然視界に入ったメガ弟さんがそれを追いかけて杵のような大きな流木で突きまくっていた。
そして私にもアタリがあったので合わせてみたものの充分に乗った手ごたえはなく、仲間たちも相次ぐバラシに悩まされる。
波は朝よりも高く向かい風も強くなっていて、それでもアキアジの反応はよかったので次こそはと頑張ることができた。
その後もバラシやアタリが消えるなど渋い状況だったが、6時12分のキッシーさんのヒットは間一髪というものだった。
やはり、ニューロッドではなく、例の一番ヒットして欲しくなかったあの竿だったのである。
波打ち際で待ち構えていたメガ弟さんが一発で3mほども蹴り上げて針掛りを確認してみると、口の皮一枚といった薄いフッキングだったのである。アキアジは銀ピカで待望のメスだった。
|
|
 |
続いてイノケンさんがヒットしたのが6時55分で、この頃になると空はずいぶんと明るくなってきていたが、向かい風は強
くなるばかりで波も高くなってきていたので、三脚に吊るしてあったアキアジは大きく風に揺られていたほどだった。
隣の釣り人は8時頃までと話していたのだが片付け始め、7時半にはすべての竿が片付けられたので広く場所が空い
 |
|
てしまった。
ここでメガ弟さんが空いた場所にアキアジの溜まっていそうな場所を発見し、すかさず移動する。一本しかブッコミ竿を出していない人の特権である。
そして、移動して間もなくメガ弟さんにヒット!
柔らかいBUN-NAGE450なので、バット部分から大きく弧を描いて竿先は海に向かって真っ直ぐになっていた。
メガ弟さんの勇姿を撮影していたその時、キッシーさんの指差す先に私の竿先が大きく揺れていた・・・ここで動画撮影を中断して自分の竿にダッシュ!
しかし、中途半端な合わせだったのかすぐにバラシ・・。
|
再びメガ弟さんの動画撮影に戻ると、アキアジはすでに波打ち際からキッシーさんとイノケンさんによって蹴り上げの最
中だったので、私も撮影しながら参加して・・・蹴る!
みんなで蹴るものだから、メガ弟さんまでいっしょになって蹴っていた姿は、さながら浦島太郎の子供たちにいじめられ
ていた亀のようだった。
兎に角、今シーズンも一本ブッコミの偉業は達せられたのである。
 |
|
この後はイノケンさんのファイトラッシュが続くなか、7時42分には私にもヒット!
今度こそはと慎重に合わせを入れて、長いブランクからの3本目を
|
 |
|
ようやくゲットした。
そして7時57分に4本目を釣り上げたのだが、お腹の不調でこのあとは戦線離脱することになる。
|
みんなの歓声を遠くに聞きながらイスに座ったり、少しづつテントを片付けるなどしながら休んでいたが一向に好くなら
なかった。
一番見たかった、動画撮影したかったイノケンさんの後輩のヒット&ゲットシーンも遠くから見守るだけとなってしまう。

この日イノケンさんは一本の仕掛で2本のアキアジを釣り上げるという不思議な釣果があった。
一本目が波打ち際に上がった時、竿にはまだ魚の動きが伝わっていて、更に巻き続けると仕掛けに掛かったアキアジ
が現れたのである。
一本目のアキアジは、何と!ラインに口元が巻きついて外れず、そのまま引き上げられてきたようだった。
片付け中の9時半に師匠が到着したが、この頃になると波は更に高く、ゴミがラインに絡み仕掛けは流されるようになってきていた。
釣った4本のアキアジのうち一本を仲間が並べていたアキアジのなかに紛れ込ませ軽量化を図るも、3本でもその重さは大変なものだった。
途中、メガ弟さんが一番重い荷物を持ってくれたので随分と助かったが、これからは更なる荷物の軽量化が望まれる。
メガ弟さんとキッシーさんの3人でラーメンを食べ、食後に解散となった。
|
|
 |
帰りは途中で大雨があったが、その後は次第に回復して晴れ間も見られるようになり、自宅には明るいうちに着くこと
ができた。

|