8月の釣り Ver.1



 ■ 太平洋に鮭鱒を探して

7月31日 7月中にアキアジゲットを目論んだと言う、この日出撃していたイノケンさんの情報では、全体でもカラフトマス
が3本とアキアジは1本のみとのことで、昨年、一昨年と好調だったのが信じられないような状態だった。
しかし、先週は低気圧の接近で出撃を断念していたので、たとえ釣れなくても出撃するだけで気がすむだろうと出発。
途中、糠平の除雪センターでトイレ休憩すると、入口の奥にあるスペースに寝袋に包まって寝ている5〜6人の熟年の
人たちがいた。
内では蚊取り線香を焚き、翌日に登山にでも行くのだろうか、横浜から来ているらしい。夏になるといろいろな人が現れ
るものだ。
糠平ダムを過ぎたとき、路面左に急に鹿が現れ・・・急ブレーキで避けたが、車間距離を詰めて追従していた後ろの車
はその後はずいぶんと私から離れてついてくるようになった。
よほど驚いたのだろう、その後キツネが歩道上に見えたときには大きく避けて走っていたほどだった。
どんな場合にも、十分な車間距離をとっているに越したことはない。
現地は霧雨だったのでやや寒く、海を見るとやはり少し濁っていたが、釣りに大きな影響はなさそうだった。


8月1日 曇り空だったのでなかなか明るくならず、釣り始めたのは4時過ぎだった。
この頃には広い釣り場がほぼ一杯になっていて、早いけれど我慢できなくて釣りにきた、という地元のベテランさんの話
を聞く。
幸い雨は降らず霧も晴れていて、寒かったのは朝方だけだった。
しかし誰の竿も曲がることはなく、投げ釣りや足元を探るミャク釣りの人たちは忙しそうにコマイやカジカなどを釣り上げて歓声を上げていた。
6時、ウキルアーにガツンとアタリがあった・・・合わせてみたのだが、その後の反応がなくただ重いだけだった。
予想通りカジカがヒットしていて、ウキルアーでは時々カジカも外道として釣れるのである。
7時頃だったろう、リュックを背負って見覚えのある人がこちらに向かってくる・・・メガ弟さんの到着である。
彼はこの釣り場は初めてだったので、想像を超えた遠さにブツブツ
言っていたが、確かに遠い。
しばらく休憩してから準備を始めるメガ弟さん・・・昨年サンマを釣ったときに使っていたというサビキを取り出し、赤イカをイソメ状に細切りにしてつける。
早速反応があり、一匹目はウグイでご愛嬌!
次は本命のコマイゲット!さすがはメガ弟さん、サビキ釣りの名手・・・というか、私としては赤イカで作ったエサが赤虫そっくりだったので、これは凄い、果物ナイフで切ったとは思えない出来栄えに感心していた。
若者グループがちょい投げでダブルトリプルと次々にコマイを釣っていたが、中にはアメマスやカワガレイの30cmほどの魚も混ざっていた。
しかし、翌日彼らが帰った後には、その死骸が打ち捨てられていたのは残念なことである。
8時半のこと・・・ウキルアーに軽いアタリがあったのだが、合わせてみても引きが弱く鮭鱒ではないことがわかった。
見えた魚体はコマイで、ウキルアーにまでヒットするほど魚影が濃いのだろうか。
しかしその後、ルアーを根掛りしてしまい、早くもパイロットルアーをロストする。
隣のベテランおじいさんはたくさん置き竿して狙っていたが、その中に数本のリールのない竿も混じっていて、一本二万円もするというシ
マノの竿を持たせていただくと、その軽さに驚かされた。
本当は10m以上の長い竿が欲しいらしいが、5万円以上すると言っていた。
この人は鮭鱒らしきアタリを一度逃し、二度目にやってきたアタリはしっかりと合わせを入れたものの、タモを忘れてきていたために知り合いが走って駆けつけたときにバレてしまっていた。
その後、少し離れたところで鮭鱒らしき魚を干している人がいたので見に行ったところ、朝の薄暗いときに釣れたというカラフトマスだった。
結局、この一本のみで誰も鮭鱒を手にすることはできず、メガ弟さんは13時前に去っていった。
この頃から釣り人は納竿しはじめて、15時頃には数えるほどしか釣り人の姿はみられなくなってしまった。
寂しい釣り場になったなあと思っていたところに、突然大きな声のハイテンションな釣り人が歩いてやってきた。
誰だろうと見ていると、なんと!日本ハムファイターズのキャッチャー鶴岡選手だった。
私たちは面識があったので隣の釣り場に招待して、ここから大変にぎやかな釣り場に生まれ変わったのである。
彼が一通りの準備を済ませたところで、私たちは入浴と食料の買出しに釣り場を離れることにした。
かつて温泉だった大浴場で汗を流し、コンビニで買出しをして戻る頃には19時を過ぎていたが、まだ明るさは残っていた。
夕闇が迫る釣り場で、ガスランタンのほのかな明かりの中でお酒を飲みながらの夕食を楽しむ。
鶴岡選手は海にお酒を捧げて釣れることを祈り、私たちも彼のポジティブな精神を信じる。
前日の寝不足を補うべく、21時にはテントに入った。


8月2日 3時半の目覚ましで起きたときには鳥の声と周囲の喧騒、そしてテント内からでもわかる外の明るさに釣りモードのスイッチが入った。
この日は流れがやや強めで、ウキルアーはずいぶんと左に流される。
しかし、釣れそうな気配がなく、キャストする回数も次第に減っていった。
そんなダレた雰囲気のなかで、少し離れたところでアキアジが釣れたようだった。
場は一気に沸きかえったが、それも次第に沈静化される・・・。
前日にメガ弟さんが残していってくれたサビキがあったので、鶴岡選手が試すことになった。
開始早々にアタリがあり引きもいいようだったが、釣れたのはキュウリウ
オだった。しかし、その後はサビキにも反応がなくなってしまう。
7時44分、テントに入って着替えをしていたところ、鶴岡選手の叫び声が聞こえてきた。
Kさんがそれに応えてタモを持って駆けつける様子が、二人の声だけで読み取れる。
どうやら無事にタモに入った様子が聞き取れたところで、テントから鶴岡選手の元へ駆けつけてみたところ、ピカピカに輝くメスのようなオスのアキアジがそこにいたのである。
その後、予備のルアー竿でぶっこんでおいた仕掛にアタリ・・・巻いてみたところ、重量感はあるが引きが伝わってこない。
姿を見せたのは30cmほどのカジカで、今シーズンはカジカばかり釣っているなあとしみじみと写真を撮る。
8時22分、この厳しい状況の中で隣の鶴岡選手が釣れたのだから、私が釣れる確立は万に一つもないだろうと思って
いたところにアタリがあった。
タイミングを計って合わせてみたところ・・・ヒット!
暴れ方からしてマスを確信、鶴岡選手がタモ入れをしてくれて無事ネットに収まった。
カラフトマスは53cmのメスで、シーライスが多めの割には魚体はきれいだった。
この魚は血抜きをしたにもかかわらず、洗っているときも袋に入れるときにも暴れるほど生命力が強いカラフトマスだっ
た。
     
          私の釣ったカラフトマス                        Kさんのカラフトマス
万に一つもないと思っていた奇跡が起きた興奮が残る9時18分のことだった。
なんと!Kさんにもヒットしてしまった。
私は動画撮影をしながら見守り、鶴岡選手がタモを構えている。
海面上でバシャバシャ暴れてなかなかタモ入れができなかったが、しばらく暴れてからようやく静かになりネットインとな
った。
この日一番と思われる超銀ピカの、緑色をした背が美しい54cmのオスのカラフトマスだった。
3人ともに釣果に恵まれる奇跡に乗って、もう一本追加しようと真剣になったが、しばらくすると雨がポツリポツリと降り
始め、風まで吹き始めたのである。
天気予報は的中して、崩れ始めた空からは本格的に雨が降り始めたので、午前中の納竿となってしまった。
駐車場に着いたときにはずぶ濡れ状態になっていて、濡れた道具の後始末を考えると気が重くなったが、クーラーボッ
クスに入っている魚のことを考え、Kさんと二日間を振り返りながら明るいうちに帰路に着いた。





 ■ 太平洋の鮭鱒ゲット!

8月7日 今シーズンは例年の3分の1と聞くサケの回帰率だが、漁獲量と釣果は別物と思いたくて今週も出かけること
になった。
今回は師匠が一年ぶりの太平洋遠征となり、この日の夕方マズメにはルアーで様子をみるとのメールが届いていた。
そして、前回ご一緒した鶴岡選手も一足早く現地入りしており、少し遅れて私たちは22時過ぎにメガ弟さんと現地の駐
車場で待ち合わせすることになっていた。

今回は日曜日まで天気の心配は要らず、気分的にも晴れ晴れとした出発となる。
上士幌町に入ると市街地方向に花火が見え始めたので、昨年も通りすがりに見えた花火大会と確信して、見物しようと思っていたが、着いた時には終了していた・・・残念。
士幌町からはマイマイ蛾の大発生に遭遇してしまい、町内の街灯のあるところでは速度を極端に落とさなければ大変なことになってしまうほどだった。
そして帯広市内を過ぎて太平洋に向かうと、先週同様に霧が発生していた。
最後の信号待ちをしていたところに姿を見せたのがメガ弟さんで、まるで示し合わせて現れたようにぴったりの到着となる。
現地では師匠と鶴岡選手の出迎えをうけて賑やかな翌日の準備に入り、そのまま小宴会を短時間催してから横になっ
た。しかしなかなか寝付かれず、波の音とカモメの鳴き声を聞いて眠くなるのを待っていた。


8月8日 少しは眠ったのだろうか?気付いたときにはメガ弟さんが仕掛の準備をしている気配に、目覚ましが鳴る前だ
が起きることにした。
まだ薄暗い時間ではあったが、準備をしているうちに釣りが可能な明るさになり、Kさん以外は臨戦態勢に入った。
海の状態は先週よりも濁りは薄く、流れも若干弱いのでウキは流されにくかった。
5時頃になると霧が出始めたがさほど長くは続かず、少し遠くでカラフトマスが釣れた様子も見える。
しかし後が続かず、釣れそうな気配など全くない状態に、早くも各自が持参していたコマイの仕掛を投入することになっ
てしまった。
先週入れ食いだったコマイはどこに消えたのかなかなか姿を見せてくれず、しばらくしてからようやくポツポツと釣れは
じめる。
しかし、私に釣れたのはキュウリで、その後はほったらかしにしておいたので根掛かりのために自作仕掛を失ってしま
うことになる。
コマイ釣りに飽きが出始めた8時48分のことだった。
鶴岡選手の仕掛にヒットした魚を取り込むべく、メガ弟さんがタモを持って駆けつけている。
ただならぬ様子に私や他のメンバー、そして周囲の釣り人も固唾を飲んで見守っていたところ「サメだー!」と言う声が上がる。
何と!タモに入った魚は、グネグネと怪しい動きで私たちをにらみつけている65cmほどのサメだったのである。
数年前に日産モリさんが釣り上げて、ハンマー投げリリースをしたことで脚光を浴びたサメをこの目で見ることになったのである。
先日購入したばかりの魚掴みを使って安全に針を外し、あらためてサメの不気味な姿を観察する。
確かに歯はのこぎり状で、噛まれたら危険だとわかる。
鮫肌も実際に触れて確認すると、想像していたよりは滑らかだったが山葵はおろせそうだった。
そして、青く輝く宝石のような目が実に美しく、この目だけはサメの印象を少しだけ優しいものに変えてくれた。
サメ騒ぎで一時賑わった釣り場も、すぐに元の静かな何の変化もない釣り場に戻ってしまった。
9時26分、一本だけ投げておいたブッコミ竿に反応があり、少し重さを感じたので期待して巻いてみたがすぐにカジカだ
とわかってしまう・・。
しかしこのカジカは37cmもある立派な魚体だったので、写真だけ撮ってリリースする。
睡眠不足のせいか立ちくらみするような体の状態に堪らずテントに入り込み横になるが、不思議と眠ることはできずウ
トウトしているうちに体調はすっかり好くなった。
天気は次第に晴れ間が見え始め、夏らしい日差しに上着を脱ぎ始めた。
あまりにも釣れないので、潮周りを計算してずぼらなエサ替えをした正午過ぎだった。
私の竿に反応が・・・・・すかさず合わせを入れてヒット!周囲の沈黙を破って海面を暴れまわる魚にマスを確信する。
しかし、岸壁のコンブに突進した魚がラインをコンブに絡み付けてしまったのである。
竿先から一直線に張ったラインは岸壁根元のコンブの林に向かっていて、魚はと言うと岸壁から数メートル離れて暴れているので、この時点でバレてしまうなあと覚悟を決めた。
しかし、意外にしっかりフッキングしていたので、鶴岡選手が上手にタモ入れをしてくれたお陰で無事ネットに収まったのでる。
先週よりサイズアップした超銀ピカの魚体に周囲の人がブリみたいな色をしているなあとか、おめでとうと言う見ず知ら
ずの人まで現れ、表面上は冷静にしていたが本当はとてもうれしがっていた私だった・・。
成長過程の半透明なシーライスが数匹だけみられることからも状態の良いメスであった。
20℃程だった気温は多少上がった程度だが、日が差してくると体感気温は急上昇して肌がジリジリと焼かれているよう
に感じられ、短パンにTシャツ姿になる仲間もいるほどだった。
それでも、時々霧が発生するので海の天気は実に変わりやすい。
15時半頃にはメガ弟さんが帰ることになり、一緒に風呂と買い物に出かけることにする。

いつもの風呂に入り、これまたいつものコンビニで弁当や飲み物などを買って釣り場に戻ったのが18時過ぎだった。
留守中の釣果はと言うと・・・やはり全く釣れていない厳しい状況だった。
すでにほとんどの釣り人は釣り場を去っていて、師匠も車に戻ってしまったので3人だけでの夕食&飲み会となった。
前夜の睡眠不足を補うべく、21時過ぎには横になった。


8月9日 途中で目覚めることもなく4時の目覚ましまで熟睡できたので、さわやかに起きることができた。
4時半にはウキルアーをキャストし始めたが、霧が出てきて水滴が少々気になる。
遠くで一本釣れたようだが私たちの周囲では反応はなく、前日と同じ雰囲気に釣れそうな気配は感じられない。
5時50分には師匠のロッドが曲がっていて、その曲がり方から鮭鱒ではないことがわかるも魚種が気になる。
やや大きめのキュウリだったので、干して塩焼きにして食べようといただくことにする。
近くで先週もいた根魚釣りの人がいろいろな魚を釣っていて、型の好い黒ゾイを釣ったすぐあとにシマゾイまで釣ってい
たまではよかったが、必要のない魚を釣ったときには近くの人に無理やり押し付けていたのはいただけない・・・。
7時前に朝食を済ませ、みんなでイスに座ってくつろぎながらおしゃべりをしていた7時15分のことだった。
私に大きなアタリがあったので、鮭鱒を確信して大きく合わせる・・・ズンとした重量感のある手ごたえでヒット!
格闘すると明らかにこれまでとは違った手ごたえに、カラフトマスではない、これはアキアジだと確信する。
しかも、このアキアジはトルクが強く、簡単に竿がのされてしまうのである。
しかし、仲間がタモを持ってチャンスを伺ってくれているので心配はしていなかった。
魚のパワーはまだまだ残っていたが、タイミングを計って一気に寄せて阿吽の呼吸でネットインとなるはずだった・・・「デ
カすぎてタモに入りませ〜ん!」仲間が叫ぶのも無理はなく、私のタモでは尾ビレがはみ出しているのであった。
それでもネットに深さがあるので、無事ネットインすることができた。
周囲の釣り人が集まってきて「おめでとう」「これはデカイ」「8キロはあるぞ」など、様々な声が聞こえていた。
魚掴みで下あごから挟んで持ち上げてみるが、重さのためにすぐに外れてしまうので、口からエラに挟んでなんとか持ち上げることができた。
銀ピカではなかったがオスのアキアジは86cm・6.5kgもあり、私のこれまでの最大サイズとなった。
久しぶりに手が震えたのは、釣ったアキアジの大きさに圧倒されてしまったせいだろうと思う。
写真撮影をしていると手がだるくなってきて持ち上げているのも苦しくなるほどだが、滅多にない至福の時を味わうこと
ができた。
昨年キッシーさんが釣った大きくて似たような色合いのアキアジを食していた仲間が言うには、これまでで一番美味しか
ったアキアジだったので、この魚も同じだろうと言う。
後日焼いて食べてみたところ、ハラスばかりでなく皮と身の間からは脂がしたたり、ハラスには5ミリもの脂の層があっ
たのである。
9時15分頃、師匠の前に妙な魚が現れた。
背びれが左右に揺れていて、たらい舟を漕ぐ海女の動きによく似ている。
次第に岸壁に近づくその魚に「マンボウだ!」誰かが叫ぶ。40〜50cmくらいの子供のマンボウである。
動画撮影をしながら様子を見ていると、どんどん近づいてくるので仲間が「掬ったろ!」と言ってタモを取りに走っていった。
しかし、マンボウは岸壁の壁に衝突する直前にもぐってしまい、タモを持って駆けつけたときには完全にその姿を消してしまっていた。
さらに11時過ぎのこと、目の前200m先に竿が泳いでいた。
もちろんアキアジかマスが針掛かりしているのだろうが、届く距離ではないので誰もが眺めているだけだった。
港の先端まで追いかけていった人もいたが次第に離れていき、やがて見えなくなってしまった。ウキアジはよく見るが、こんなに長い時間竿アジを見たのは初めてだった。
これが今回の釣行での最後の事件だった。
その直後には片付けをはじめ、荷物を台車に積み終えた頃に一本アキアジが近くで釣れたが、もうだまされない・・・そのまま全員で釣り場を後にした。
結局この日も、全体で一桁しか釣れていなかった・・・。
駐車場の気温は20℃程度だったが、帯広に近づくにしたがって気温は26℃まで
上昇し青空が広がっていた。
以前から入ってみたかった回転寿司で遅い昼食を済ませ、自宅には18時前に着くことができた。


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