5月の釣り Ver.2



 ■ 常呂沖のカレイ釣り

5月29日 釣り船「幌岩丸」への乗船は予想外の人気のために31日しか空きがなかった。今年はKさんと二人だけの予
定だったが、突如30日に空きができたことによりキッシーさんの乗船が決定!
昨年から利用している釣り船だが、超人気船のために早い時期から土日は満杯、平日でも乗船できない日があるほどの混雑ぶりである。
今シーズン初、待望の船でのカレイ釣りに期待と不安一杯の前夜からの出発となる。不安と言うのはあの船酔いの恐怖で、昨年は乗船した4割の釣り人が船酔いしたほどの条件の悪さだったので、私には酔い止め薬が効かないのか判断ができなかった。
翌日の天候は晴れのち曇り、風が少しあるらしいが波は1m程度と条件は悪くなかった。
車中泊の道の駅が近づくにつれて霧が出始め、到着すると視界は
30m程度にもなっていた。
夕食に食べたジンギス汗が腹に残っているようなイヤーなもたれにもかかわらず、ビールと日本酒を寝酒に早目に23
時には床に着いた。


5月30日 3時の目覚しで起きたが睡眠不足に気分は優れず、15分後に目覚しをセットして再び横になった。
しかし眠れず、起きることにして外を見ると、昨夜よりも濃い霧につつまれていたので、海上で遠くが見えなければ船酔
いが・・・そんな不安が頭を過ぎる。
軽い朝食後に準備を整えて出発し、数分後には左斜め前に真っ赤な朝日がぼんやりと見え始め、青空も広がってきて
いた。
          

漁港の船着場に着くと霧はすっかり晴れていて、忙しく入出航する漁船が見える漁港に4時半の出港準備をしている幌
岩丸が見えたと同時に、船へと向かうキッシーさんの姿も確認。
乗船名簿への記入を済ませて荷物を船に積み込み、仕掛けをセットしたりエサ箱を出すなどしていたが、30分前に着
いたにもかかわらず私達が最後の客だったようで、他の釣り人はすっかり準備が整っているようだった。

            

落ち着いて周りを見ると、電動リールにパワーホルダー、50リットルのクーラーボックスとすっかり圧倒されてしまうと同
時に、胃がムカムカするほどでもないが何かいつもとは違った違和感に船酔いの不安が・・・。
定刻の4時半に出航すると、正面にずいぶん高くなった朝日が眩しく、ここのところ連日好調だと聞いているので期待
感に胸を躍らせていた。
          

港の方を見ると、車中泊していた道の駅は未だに霧に蔽われていたが、その場所以外は快晴の青空が広がってい
る。
しばらく行くと第二湖口が見えてきて、速度を落として通過したこの先はオホーツク海、数釣りが楽しめる美味しいマガレイや巨大なクロガシラが釣れる可能性がある、釣り人にとっては宝箱のような海となる。
昨年は荒れていたので慎重に通過した海への出口も難なく抜けて、穏やかな海上をひた走る。
そろそろかなと思っていたが船はそのまま走り続け、常呂町内が見える最初のポイントにようやく到着した。5時10分に着いたので、港から40分経過していた。
深さは15mと船長さんの合図で仕掛けを下ろす・・・着低してすぐにアタリが伝わり、そのままにしておくと何度もアタリが続く。
さっそく巻き上げてみると複数匹掛かっているのだろう、久しぶりに味わう船釣り独特のカレイの引きがずっしりと重く心
ち好い。
海中から白いカレイの腹が見えてきて、それが複数匹だとわかると更に喜びは増してくる。
しかし、手にしてみると大きくはなく、たくさん釣れるだろうからと決めていた
ので22cm以下はリリースとする。
キッシーさんもKさんも、そして周りの人たちも次々に釣り上げていた。
私達と背中合わせに釣り座を構える電動リールの人たちからはウィーンという電動リールの音が絶えず聞こえていて、機械的な釣りはまるで漁のようにもみえる。
波もうねりも少ないが風が強かったのでアタリは竿先よりも手に感じられ、船酔いを避けるために竿先は見ずに遠くを

気さくな船長
眺めていた。
しばらくの間は船酔いしてしまいそうな胃がムカムカする一歩手前のような感覚があり、こんな早い時間から酔ってしまったら大変だと不安が募る。
しかも運の悪いことにすぐ近くにエンジンの排気口があり、ここから時々苦手なディーゼルエンジンの排気ガスが鼻をかすめるのだった。
ただ、今回は最強の酔い止め薬を最善の服用方で飲んでいたので、これで酔ったなら自分は船釣りには全く不向きな体質と判断しようという、大げさかもしれないがこれからの釣り人生の岐路とも考えていたほどである。
そんな切羽詰った状態なものだから、釣り場に着いてからはカメラを取り出すゆとりなどなく、電動リール軍団同様に機械的に釣り続けていたのである。
キッシーさんは32cmのクロガシラを釣り上げたので私が写真を撮っていたが、この船上では見向きもされないサイズら
しく「港だったらみんな集まってくるのになあ・・」と、キッシーさんの喜びもさらりとしたものだった。

            

昨年乗船した時には雨のせいか船酔いのせいかは定かではないが、船長とはあまり話をしていなかった。
しかし、今回はずいぶんと楽しく色々なお話をすることができたし、親切で釣り客をとても大事にしている方だと思った。
船内には大きなバケツやその中に納まるザル状の容器も用意されていたが、自分のバケツに水を入れることもできな
いこの日の私には無用の長物で、キッシーさんがそれを有効活用していた姿をうらやましく見ていただけであった。
それでも釣りだけは快調に続けていたので、釣れるほとんどがマガレイという美味しいカレイだけに笑顔は絶えない。
気がつくと他の釣り船も多く、プレジャーボートまで集まってきていた。
しばらくすると場所を移動するとのことで一斉に仕掛けを巻き上げ、程なくして次のポイントに移動となる。
これを数回繰り返してから、やや沖目にある大物の潜むポイントへ
着いた。
このポイントへの移動を重要視していなかったというよりも、このポイントこそが幌岩丸のホームページを毎日際立たせてる大物カレイが釣れるポイントだと、私はこの時強く意識していなかった・・・。
およそ30mほどの海底からは他のポイントとは違う型の好いマガレイやクロガシラが釣れ始め、船上の他の釣り人が50cmに届くほどのクロガシラを釣り上げることもあった。
そして私に釣れたのが外道中の外道カジカだったが、30cm弱のオニカジカだったので記念撮影をしておいた。
他にも、ホッケと間違えそうな色合いのエゾアイナメも釣れたが、本命の大物クロガシラは釣れず33cmどまりである。
私と背中合わせに釣りをしていた人のタモ入れを船長がしていたとき、控えめな釣り人のクロガシラを持って船長が身構えたので、記念撮影にと1枚!うらやましいほどの50cmに近いクロガシラだった。
しばらくして、Kさんの竿先がずいぶんと海に突き刺さっていたので動画撮影を始めた直後、大きなカレイが海面で跳
ねていた。マガレイかと思っていたところ、この船でもこれまでに3枚しか釣れていないアサバガレイだったのである。

            

サイズは36cmあり、この大きさになると身の厚さも相当なものだった。
後日、クロガシラと一緒に煮付けにして食べてみたところクロガシラほどカレイの臭味がなく、しっとりとした身と脂のの
ったヒレはクロガシラよりも美味しかった。
大物はあまり仕掛けを動かすことなく待っていた方が好い、そのうちに大物が仕掛けを銜えて竿が引っ張られるほどのアタリがきますよ、と教えてくれた船長の言葉を信じて続ける。
その後、私にも大物の手ごたえがあり、船長の言葉のようなアタリではなかったが他のカレイよりは重い・・・。
見えた魚体はソウハチで、そのまま抜き上げてゲットとなる。
大きさは36cmで、私のこれまでのソウハチの記録である32cmを大きく更新することができた。
干して食べようかと考えていたのだが、船長の「お刺身で!」の言葉に刺身にしてみたところ、確かにカレイの中でも特に臭味の強いソウハチとは思えないほどの美味であった。
唯一つ難をいえば私の5枚おろしの技術力で、無駄なくそぎ落とすことはできるが骨が残っていたり形が整っていない
ことである。
釣り人の中には50cmに限りなく近いクロガシラを3枚も釣った人もいて、実にうらやましい限りだった。
そして最後のポイントに移動すると、こちらは15mほどの浅場なので大物は期待できなかったが反応が好く、再びマガ
レイの入食いタイムとなった。
12時近くなって私が仕掛けを引き上げたときにオマツリとなってしまった・・・私の仕掛けに釣れていたマガレイを一枚キ
ープして、結局仕掛けを切って外したときに納竿時間を迎えてしまったのである。

         

気付いた時には船酔いの不安は消えていて、何度かあった揺れる船上でのオマツリや下を向いてのエサ付けなど、決
して容易ではなかった条件の中でも船酔いはしなかった。
まだ釣り足りないような余裕を残しつつ、疾走する船上で心地好い脱力感を味わうことができた。
ただし、波しぶきが時々飛んできて、新品のレインウェアは白くなってしまった。
港に戻り船からクーラーを上げるときに初めて気付く重量感・・いつの間にか結構釣っていたようで、ずっしりと重くなっていた。
リリースサイズを22cm以下に決めていたので80枚ちょっとではあったが、Kさんの分と二人分の釣果を合わせると当分の間はカレイ釣りができないほどとなる。
その後、3人で「しゃべりたい」に向かってカレイ釣りの後のカレーを食べるという洒落た予定だったが、時間が遅かったせいもあり食材が切れた為に閉店していた・・・。
他の食堂で昼食を食べながら釣りの余韻を楽しみ、途中のサロマで仮眠をとってからの帰宅となった。
船酔いさえしなければ病み付きになりそうな常呂沖の船釣りとなり、いくらか自信もついたような気がする。


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