2月の釣り Ver.3



 ■ シーズン最後の糠平湖

2月28日 1月17日から通い詰めた糠平湖は、例年よりも早い水位の低下などの理由により3月1日が最終日となるの
で、この日が今シーズン最後の氷上釣りとなった。
前回の帰路では酷い吹雪に見舞われてしまったので、天気だけを気にして出発したところ、場所によってはライトを遠
目にできないほどの吹雪もあった。
しかし、糠平湖が近づくにつれて雪は止み、立ち寄った除雪ステーションを出発する頃には東の空が薄赤く色付き始め
ていた。
          
            除雪ステーション
今回も、イノケンさんと五の沢駐車場に6時の待ち合わせをしていたが、着いてみるといつもよりは車の数が多く、翌日
が最終日のせいなのだろうか、みなさん糠平最後の釣りを楽しみに来て
いるようだ。
6時10分にはソリを引いて出発し、所々でデジカメの動画撮影をしながら進む。
氷上に下りていく道は少しづつルートが変わっていて、毎日20cmずつ水位が下がっているという湖面は随分と遠くなった印象が強い。
湾内の人気ポイントはテントの数も多かったが通り過ぎ、ちょっと沖ポイントも通り抜けるとその先は先週は道がなかったが、この日はすでに先行者がいて道は固く締まっていてぬかることはなかった。
前回とほぼ同じポイントにテントを設営することになり、3人で足場を踏み固める。
今回も3人では広すぎるくらいのノースガード9を使用し、突然の風対策に四隅のペグ止めだけを済ませて完了。
各自の釣り座も前回と同じで、イノケンさんがさっそく筋トレの穴あけ作業に入り、あっという間にテント内に4個の穴を
あけてしまった。
イノケンさんはそのまま外に向かい、私達はエサのワカサギ釣りをはじめたが・・・少しの間は反応がなかった。しかし、
数分後にはワカサギが8mほどの湖底から次々に釣り上がってくる。

           

前回反応の良かったテント内にサクラマスの仕掛けを投入しておき、朝食を食べ始めたところでイノケンさんが全ての
穴をあけて戻ってきた。
今回は前回よりも多くの穴あけをしたはずなのに早く戻ってきて、ドリルを回す力加減などのコツを掴んだとイノケンさ
んは余裕の表情である。
食後は4本のサクラマスの竿の準備を始め外に出ると、すでに太陽の光が眩しかった。
ワカサギをエサに仕掛けを沈め、準備が済むとテントに戻りワカサギ釣りに集中・・・適度に釣れるので暇な時間はないくらいだった。
ここで、ドリルによる穴あけをしてみたくなり、テントの近くでドリルを回してみたところ、これがなかなか簡単には貫通せず一
苦労。なんとか一つの穴をあけて残っていたサクラマス竿をセットした。テント内のKさんの竿を含めると総数6本はこ
れまでで一番多い。
ワカサギの反応はどんどん良くなり複数匹で釣れることもしばしばあったが、少しの間ほったらかしにしておいたイノケ
ンさんの竿には6匹も掛かっていたほどだった。

           

青空が一杯に広がる好天の下、今回は忘れずに持ってきたサングラスが強い日差しを遮ってくれて、大げさかもしれな
いがこれがなければテントに戻ったときに暗く感じるほど外は眩しいのである。
9時10分頃、イノケンさんと二人揃って各自の竿の点検に向かったところ、糸ふけしている様子に期待が高まる。
胸躍らせながら糸ふけを取ってアワセを入れる・・・OMAヒット、いわゆる思いっきり向こうアワセである。
しかし手ごたえは充分感じられ、この日の初物サクラマスは型の好い腹太だった。
駆けつけてくれたイノケンさんから突然小さなものが私に手渡され、何だろうとじっくり見て二人は向かい合って笑う・・・イノケンさん特製のサケバットならぬサクラマスバットだったのである。
大きさは13cm、使い方は人差し指と中指にグリップ部分を挟み、遠心力を利用して振ると軽く振っただけで一撃必殺となる。木目が美しい手作りの一品を頂き、さっそく使ってみたがなかなか使い勝手も良く、ポケットに忍ばせておけばいつでも簡単に取り出すこともできる。
釣り上げたサクラマスの写真を撮ろうとしていたところ、イノケンさんにもヒットしていると言うので駆けつけたが、すでにサクラマスが雪上にピチピチと跳ねていた。もちろんイノケンさんは自作バットを使用していて、サクラマスバットはキーホルダーにぶら下げられている更に小さな、10cmほどのものだった。
二人連続ゲットにテントから出なかったKさんも様子を見に来ていたが、他の竿は全てスカであった。
9時25分、後から自分であけた穴には間に合わせに試したワカサギのリール「棚ハンター」をつけていた。しかし、この
竿にもヒットしていて、竿が短かったので扱いにくいがなんとか引き上げることができた。
レギュラーサイズよりは大きいサクラマスは、日の光が反射して一際輝いていた。

           
         棚ハンターとサクラマス
この頃、15人以上の集団がネイチャーセンターの人とともに私達の近くにやってきた。
ワカサギ釣り体験の観光客らしく、若い男女のグループは氷の穴あけにも歓声があがり、その声は散発的に午後から
も続くのだった。
気がついた時には団体の釣り体験グループはテントの中で釣りをしているようで、相変わらず一匹釣れる度に大歓声
である。
           

10時10分、エサの点検をしていたところ、また違う竿にヒットしていた。
この仕掛けは糸ふけとラインが斜めに引かれていたことで、ヒットを確信してのアワセだった。
テント内のワカサギは依然好調ではあったが時々ウグイも釣れるので、ウグイがヒットした時には凡そ察しがつくので表情は若干曇る。
ウグイのヌルヌルが苦手なKさんは、釣れるたびにイノケンさんのお世話になっていた。
この頃から風が吹き始め、仕掛けを入れた穴が完全に埋もれてしまうほどだったが、穴の壁の向きによって影響を受けない穴もあった。しかし天気
は終日晴れだったので、テントに入ると暖かかった。それでも風によってテントが揺れるので、テントにはロープを張っ
てペグ打ちをして対処する。
         
     イノケンさんの近くにスノーモービルが・・
お昼頃には管理人さんがやってきたので料金の支払いを済ませ話を聞くと、来年は三の沢への新ルートを開拓中との
ことで、このルートが定着すれば3月中盤でも楽に湖面へ下りられるので、長くサクラマス釣りが楽しめるようになるらし
い。
ここ五の沢とは違って長い道を歩く必要もなく、比較的楽に釣り場へ行くことができるので私達の期待は大きいのであ
る。
12時45分、新調したドラグ性能が良いリールをセットした竿にヒット!その性能を試すほどのサクラマスではなかった
が、美しい魚体が雪面に踊った。

          

その後、隣の釣り人の竿にアタリをみつけたイノケンさんが知らせるも、合わせを入れずに巻いたせいか食いが浅かっ
たせいかは定かではないが、魚は掛かっていなかった・・・。
しかし、その直後にはこの釣り人の外に並べていたサクラマス仕掛けに初ヒットして、うれしそうに喜びの声をあげてい
た。
周囲ではたくさんの人がサクラマスを狙っていたようだが、以前のようにたくさん釣れる様子は見られず、様子を伺いに来た釣り人は前回は釣れたんですがねえ、と話していた。
13時過ぎにはイノケンさんにもサクラマスがヒットし、私が動画撮影しながら駆けつけた時にはすでに釣り上がっていた。
その後は何度かエサの点検をしながら期待してみるも反応はなく、14時半前には外で点検をしていたイノケンさんの悲鳴が聞こえてきた。
聞くと、イノケンさんの竿の上をスノーモービルが走り抜けたらしく、雪の下に埋もれ踏み潰された竿やリールを掘り起こしていた。
スノーモービルの持ち主である管理人さんも心配して来ていたが、幸い道具に損傷はなかったようだった。
いつもと違うサクラマスの反応の悪さに16時には納竿しようと話していたので、それまでにワカサギ竿やその他の道具
の片付けを済ませ、最後にサクラマス竿を点検してみたのだが・・・・・全てスカにて終了となった。
まだ日が沈む前の納竿ではあったが、40日間という短い期間は充実した週末を楽しむことができたし、新しい氷上の
サクラマス釣りという分野も開拓できたので実りあるシーズン終了となった。

          

駐車場に戻り荷物を整理したイノケンさんとの別れ際、心なしかイノケンさんが林の奥に目を向けて別れを惜しんでい
るような姿が印象的で、事実私も名残惜しく去りがたい想いが胸を覆っていた。
帰り道はまだ明るかったので除雪センター近くのアーチ橋を見学して、その後もいつになく天気の好い快適な道を走り
層雲峡の氷爆祭りを横目に見ながら、初夏まではこの道を走ることもないだろうと考えていた。

          

今シーズンの糠平湖はワカサギの数が多かったせいでサクラマスが大漁で、型は小さいが数釣りを楽しむことができ
た。
管理人さんの情報では最大でも38cmしかなかったそうだが、イノケンさんとともに経験を重ねたおかげで翌年への大物
を釣り上げる期待は大きくなった。
まだワカサギシーズンが終ったわけではないので、もう少しだけこの釣りを楽しんでみたいと思っている。


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